平成天皇誕生日はなぜ祝日にならない?歴代の違いと平日になった理由を解説

平成天皇誕生日はなぜ祝日にならない?歴代の違いと平日になった理由を解説

「あれ?12月23日って祝日じゃなかったっけ?」

カレンダーを見て、ふとそんな疑問を持ったことはありませんか。

長年、私たちにとって12月23日は「天皇誕生日」として馴染み深い祝日でした。しかし、令和への改元とともにこの日は平日へと戻っています。

一方で、4月29日の「昭和の日」や11月3日の「文化の日(明治天皇の誕生日)」は祝日として残っています。この違いは一体どこにあるのでしょうか。

結論から言うと、日本の法律では「在位中の天皇の誕生日のみ」を祝日とすると定められているからです。

この記事では、なぜ平成の天皇誕生日は祝日として残らなかったのか、歴代天皇の誕生日の扱いの違いや、その背景にある「二重権威」への配慮など、少し踏み込んだ事情まで分かりやすく解説します。

※本記事では便宜上「平成天皇誕生日」という表現を使用していますが、本来、存命中の天皇に「○○天皇」という呼称は用いません。正式には「上皇陛下の誕生日」または「平成時代の天皇誕生日」となります。

目次

天皇誕生日はなぜ変わる?祝日にならない日との「違い」

天皇誕生日は、文字通り「今の天皇陛下」が生まれた日をお祝いする国民の祝日です。そのため、天皇陛下が代替わり(譲位や崩御)をされると、日付も変更されます。

現在、天皇誕生日は令和の天皇陛下(徳仁さま)の誕生日である「2月23日」です。

では、なぜ先代の誕生日は祝日のまま残る場合と、平日になる場合があるのでしょうか。その明確な違いと理由を見ていきましょう。

結論:原則は「在位中の天皇」のみが祝日

「国民の祝日に関する法律(祝日法)」では、天皇誕生日を「天皇の誕生日を祝う日」と定めています。ここでの天皇とは、日本国憲法における「在位中の天皇」を指します。

つまり、退位されたり崩御されたりした時点で、その日は自動的に「天皇誕生日」という祝日ではなくなるのです。

かつての誕生日をその後も祝日として残すためには、国会で法改正を行い、別の名称(例:昭和の日)をつけて新しい祝日として制定する必要があります。

平成天皇誕生日(12月23日)が平日になった理由

現在の上皇陛下(平成の天皇陛下)の誕生日である12月23日が平日になったのには、大きく分けて2つの理由があります。

  1. 新たな祝日とする法律が制定されなかったため
  2. 「二重権威」への懸念があったため

特に重要なのが2つ目の理由です。

平成の代替わりは、光格天皇以来約200年ぶりとなる「生前退位(譲位)」でした。上皇陛下がお元気な状態で、新しい天皇陛下が即位されたのです。

もし、12月23日を新しい祝日(仮に「平成の日」など)として残してしまうと、「新しい天皇陛下の誕生日(2月23日)」と「上皇陛下の誕生日(12月23日)」の両方を国全体で祝うことになります。

これでは、国民の象徴が二人いるかのような「二重権威」の状態を招きかねないという懸念が、政府や有識者の間で持たれました。そのため、現在は平日となっています。

参考:国民の祝日について – 内閣府

歴代天皇誕生日の扱い一覧【明治・大正・昭和・平成・令和】

歴代の天皇誕生日が、現在どのような扱いになっているのかを一目で分かるように比較表にまとめました。

すべての誕生日が祝日として残っているわけではないことが分かります。

時代日付現在の扱い名称の変遷
明治11月3日祝日天長節 → 明治節 → 文化の日
大正8月31日平日天長節 → 平日
昭和4月29日祝日天皇誕生日 → みどりの日 → 昭和の日
平成12月23日平日天皇誕生日 → 平日
令和2月23日祝日天皇誕生日

明治天皇(11月3日):文化の日として定着

明治天皇の誕生日は、戦前は「明治節」という休日でした。

1946年のこの日に日本国憲法が公布されたことと、明治という時代が日本の近代化(文化の発展)に大きく寄与したことから、1948年に「文化の日」として定められました。

明治天皇の誕生日だから残ったという側面もありますが、憲法公布日という大きな意味合いが重なったことが祝日存続の決め手です。

大正天皇(8月31日):なぜ祝日ではないのか

大正天皇の誕生日である8月31日は、現在は平日です。これには気候的な事情も関係していると言われています。

8月末は残暑が厳しく、式典や行事を行うには不向きであったことや、大正天皇の在位期間が比較的短かったことなどから、祝日として残す動きにはなりませんでした。

「歴代すべての天皇誕生日が祝日になるわけではない」という分かりやすい例と言えます。

昭和天皇(4月29日):みどりの日から昭和の日へ

昭和天皇の誕生日である4月29日は、紆余曲折を経て現在の「昭和の日」になりました。

昭和天皇が崩御された際、ゴールデンウィークの初日であるこの日を平日に戻すと、国民生活への影響が大きいと判断されました。そこで、昭和天皇が自然を愛されたことにちなみ、まずは「みどりの日」として祝日に残されました。

その後、2007年の法改正により、4月29日は激動の日々を経て復興を遂げた昭和という時代を顧みる「昭和の日」に改称。「みどりの日」は5月4日へ移動しました。

「上皇」としての在り方と生前退位の特例

今回の記事のテーマである平成の天皇誕生日が平日になった背景には、「生前退位」という歴史的な出来事が深く関わっています。

約200年ぶりの譲位と新しい皇室の形

2019年4月30日、平成の天皇陛下は退位され「上皇」となられました。

これは江戸時代の光格天皇以来、約200年ぶりのことです。

明治以降の皇室典範では、天皇は「終身在位(崩御するまで天皇であること)」が原則でした。しかし、上皇陛下が高齢による身体的な衰えを理由に「象徴としての務めを果たせなくなる」と懸念され、特例法によって退位が実現しました。

この「生前退位」があったからこそ、先述した「二重権威」を避けるために12月23日を平日に戻すという判断がなされたのです。

もし将来的に上皇陛下が崩御された場合、その後に12月23日が「平成の日」などの祝日として復活するかどうかは、その時の国会での議論次第となります。

令和の天皇誕生日(2月23日)の過ごし方

現在の天皇誕生日である2月23日(令和の天皇誕生日)は、どのように過ごすべき日なのでしょうか。

皇居での一般参賀

天皇誕生日には、皇居で一般参賀が行われます。

天皇皇后両陛下をはじめ、皇族の方々が宮殿のベランダにお立ちになり、国民からのお祝いに応えられる行事です。

誰でも参加できる貴重な機会ですが、事前の申し込みが必要な場合や、感染症対策・警備上の理由で人数制限が行われる場合があります。参加を希望する場合は、必ず宮内庁の公式サイトで最新情報を確認しましょう。

記帳や天長祭

皇居へ行けない場合でも、各地の神社では「天長祭(てんちょうさい)」と呼ばれるお祭りが行われています。

これは天皇陛下の長寿と国の安泰を祈る神事です。近所の神社を参拝し、静かに平和を祈るのも、天皇誕生日らしい過ごし方と言えるでしょう。

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まとめ:天皇誕生日は「在位中の天皇」を祝う日

今回は、平成天皇誕生日がなぜ祝日にならないのか、歴代の天皇誕生日との違いを中心について解説しました。

記事のポイントをまとめます。

  • 原則: 祝日法により、祝日になるのは「在位中の天皇の誕生日」のみ。
  • 平成の誕生日: 二重権威を防ぐため、上皇陛下在位中は平日の扱いとなっている。
  • 歴代の違い: 明治・昭和は「文化の日」「昭和の日」として残ったが、大正は平日。必ず祝日として残るわけではない。
  • 現在の祝日: 2月23日が令和の天皇誕生日として祝日である。

カレンダーの赤い数字には、その時代の法律や、皇室と国民との関係性が反映されています。

次に2月23日の天皇誕生日を迎える際は、こうした歴史的背景や、現在の平和な日々に少し思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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