忘年会の「締めの挨拶(閉会の挨拶)」は、一年間の労をねぎらい、気持ちよく新年を迎えるための超重要パート。「終わりよければすべてよし」と言うように、最後がビシッと決まれば、その会自体が素晴らしいものとして参加者の記憶に残ります。
この記事では、失敗しない挨拶の構成テクニックから、そのまま使える具体的な例文、意外と知らない「手締め」の正しいルールまでを徹底解説します。スマホでこっそり見ながらでも使える実践的な内容になっていますので、ぜひ参考にしてくださいね!
忘年会の「締め」が重要な理由とは?
単なる飲み会の終了合図だと思っていませんか? 実は、忘年会の締めには、組織やチームにとって非常に大切な役割があります。
一年の労をねぎらい、次への活力を生む
忘年会は、一年間走り続けてきたメンバーが互いに「お疲れ様」を言い合える貴重な場です。普段は厳しい上司や、あまり話さない同僚とも、お酒を酌み交わして肩の荷を下ろす瞬間ですよね。
締めの挨拶には、その楽しい時間を肯定し、「今年もいろいろあったけど、みんなで頑張れてよかった」という一体感を作る役割があります。ここでしっかりと労いの言葉があるだけで、参加者は「また来年も頑張ろうかな」という前向きな気持ちになれるのです。
「終わりよければすべてよし」の心理効果
心理学には「ピーク・エンドの法則」という言葉があります。これは、物事の印象は「最も感情が動いたとき(ピーク)」と「去り際(エンド)」で決まるというものです。
たとえ途中で料理が出るのが遅かったり、多少のトラブルがあったりしても、最後の挨拶が感動的だったり、スマートでカッコよかったりすれば、会全体の満足度はグッと上がります。
逆に、最後がグダグダだと、「なんだか疲れる飲み会だったな……」という印象だけが残ってしまうことも。だからこそ、締めの挨拶は短くてもビシッと決めることが大切なのです。
失敗しない閉会の挨拶の構成テクニック
「何を話せばいいかわからない」という人のために、絶対に外さない鉄板の構成をご紹介します。この流れに沿って話せば、大きく失敗することはありません。
基本の4ステップ(注目→感謝→展望→手締め)
挨拶は以下の4つのブロックで組み立てましょう。
- 注目の喚起:「皆様、宴もたけなわですが……」と場を静める。
- 感謝とねぎらい:「本日はお集まりいただき〜」「一年間お疲れ様でした」と感謝を伝える。
- 来年の展望:「来年も厳しい年になりそうですが、力を合わせて〜」と未来を語る。
- 結びと手締め:健康や多幸を祈り、手締めで終わる。
この順番を守るだけで、論理的で聞きやすいスピーチになります。特に「感謝」から「未来」へ話をつなげると、ポジティブな余韻を残しやすくなりますよ。
ダラダラ話はNG!1分〜2分でまとめるコツ
忘年会の終盤、参加者はすでにお酒が入っていて、集中力も切れています。そんな中で5分も10分も話を聞かされるのは苦行でしかありません。
目指すべき長さは「1分〜1分半」です。文字数にすると300〜450文字程度。
「もっと話したいことがある」と思っても、グッとこらえて削ぎ落とすのがマナーです。ネガティブな説教や、自分語りの武勇伝は絶対に避けましょう。短く爽やかに切り上げる人こそ、「デキる人」として評価されます。
【基本編】そのまま使える締めの挨拶例文
ここでは、シチュエーション別にそのまま使える例文を用意しました。自分の状況に合わせて、[]の部分をアレンジして使ってください。
一般的な会社の忘年会(スタンダード)
もっとも汎用性が高いパターンです。迷ったらこれを選びましょう。
例文:
「皆様、宴もたけなわではございますが、そろそろお開きの時間が近づいてまいりました。
本日は、こうして皆様と一年の労をねぎらうことができ、大変嬉しく思います。
今年は[プロジェクト名]の成功など、私たちにとって大きな一歩を踏み出した年でした。これもひとえに、ここにいる皆様一人ひとりの尽力のおかげです。本当にありがとうございました。
来年もまた新たな挑戦が待っていますが、このチームなら必ず乗り越えられると確信しています。
それでは、来年の皆様のさらなるご活躍とご健勝を祈念いたしまして、一丁締めで締めさせていただきます。
お手を拝借、よーぉ、(パン!)
ありがとうございました!」
※ここがポイント!
「よーぉ、パン!」と1回だけ手を叩くスタイルは、正しくは「一丁締め(関東一本締め)」と言います。
よく「一本締め」と言ってしまいがちですが、本来の「一本締め」は「パパパン、パパパン、パパパン、パン」というリズムです。年配の方が多い席では特に、正しく「一丁締め」と宣言することで、「おっ、こいつ分かってるな」と評価されますよ。
取引先がいるフォーマルな場
丁寧な言葉遣いを意識し、相手への敬意を前面に出します。
例文:
「僭越ながら、締めのご挨拶をさせていただきます。
本日はお忙しい中、[取引先企業名]の皆様にもご臨席を賜り、誠にありがとうございました。
一年間、多大なるご支援とご協力をいただき、多くの成果を上げることができましたこと、深く感謝申し上げます。
来る年も、変わらぬご厚情とご指導を賜りますよう、お願い申し上げます。
皆様の益々のご発展をお祈り申し上げ、一本締めにて締めくくらせていただきます。
それでは、お手を拝借……(パパパン、パパパン、パパパン、パン!)
ありがとうございました。」
気心の知れた仲間とのカジュアルな会
堅苦しい挨拶は抜きにして、素直な感謝を伝えましょう。
例文:
「えー、盛り上がっているところ恐縮ですが、そろそろ時間なので締めます!
今日はみんな、集まってくれてありがとう。本当に楽しい時間でした。
今年もいろいろあったけど、こうして笑って年末を迎えられるのが最高だよね。
来年もまた、みんなで楽しくやっていきましょう!
それじゃあ、最後は一丁締めでスパッと終わりましょうか。
みんな、準備はいい? よーぉ、(パン!)
はい、お疲れ様でした! 気をつけて帰ってね!」
「手締め」の種類と正しいやり方【比較表あり】
挨拶の最後に行う「手締め」。実は「一本締め」だと思ってやっているそのリズム、間違っているかもしれません。地域や会社によってルールは異なりますが、一般的なビジネスマナーとしての正解を押さえておきましょう。
「一本締め」と「一丁締め」の違いに注意
一番よくある間違いが、「よーぉ、パン!(1回だけ)」を「一本締め」と呼んでしまうことです。
正しくは、1回だけ手を叩くのは「一丁締め(関東一本締め)」と言います。
本来の「一本締め」は、「パパパン、パパパン、パパパン、パン」というリズムを1回行うものです。
この違いを知らずに「それでは一本締めで…よーぉ、パン!」とやってしまうと、事情通の方から「あれ?」と思われてしまうかもしれません。
手締めの種類比較表
それぞれの違いを表にまとめました。
| 種類 | リズム・やり方 | 特徴・用途 |
|---|---|---|
| 三本締め | 「パパパン、パパパン、パパパン、パン」 × 3回繰り返す | 最も正式で格式高い締め方。 お祝い事や、公式な宴会で使われる。 |
| 一本締め | 「パパパン、パパパン、パパパン、パン」 × 1回だけ行う | 三本締めを簡略化したもの。 一般的な忘年会や宴会でよく使われる。 |
| 一丁締め (関東一本締め) | 「よーぉ、パン!」 (1回だけ手を叩く) | さらに簡略化したもの。 短時間で締めたい場合や、周囲への騒音配慮が必要な店などで使われる。 |
挨拶の冒頭で、「本日は時間の都合もありますので、『一丁締め』でお願いしたいと思います」と一言添えると、参加者も迷わずに合わせることができますよ。
※地域(大阪締め、博多手一本など)によって独自のリズムがある場合も多いので、その土地や会社の慣習に従うのが一番のマナーです。
急に指名されても慌てない!即興スピーチの極意
「えっ、今から俺?」と、何の準備もしていないのに突然マイクを渡されることもあります。そんな時でも、これさえ覚えておけば大丈夫です。
「型」を持っておけば怖くない
頭が真っ白になっても、「ねぎらい」+「来年の抱負」の2つだけ言えれば合格点です。
- 「皆さん、今年もお疲れ様でした!(ねぎらい)」
- 「来年もみんなで笑って過ごしましょう!(抱負)」
- 「それでは、お手を拝借!」
これだけで十分です。無理に気の利いたことを言おうとして沈黙するよりも、シンプルに元気よく終わらせる方が好印象です。
短く切り上げる勇気が好印象のカギ
即興で失敗するパターンの多くは、「何かいいことを言わなきゃ」と話し始めてしまい、着地点が見つからずにダラダラと喋り続けてしまうことです。
「話が長い」と思われるのが最大のリスク。「準備していなかったので、一言だけ!」と前置きして、スパッと短く終わらせる勇気を持ちましょう。それが結果として、スマートな締めにつながります。
まとめ
忘年会の閉会の挨拶は、一年の活動を締めくくり、新しい年への希望をつなぐ大切なバトンです。
- 構成はシンプルに:「感謝」と「未来」を語る。
- 長さはコンパクトに:1分半以内で、参加者を疲れさせない。
- 手締めは正確に:「一本締め」と「一丁締め」を使い分ける。
難しく考える必要はありません。参加者への「ありがとう」という気持ちを込めて、笑顔でハキハキと話せば、きっと素晴らしい締めくくりになるはずです。自信を持ってマイクを握ってくださいね!





