PythonでPDFのテキスト抽出!pdfminer.sixの基本から実践まで徹底解説

PythonでPDFのテキスト抽出!pdfminer.sixの基本から実践まで徹底解説

PythonでPDFファイルからテキスト情報を抜き出したい、と考えたことはありませんか?データ分析の前処理や、事務作業の自動化など、PDFのテキスト抽出は様々な場面で役立ちます。

数あるライブラリの中でも、本記事では「pdfminer.six」に焦点を当てて解説します。

この記事を読めば、pdfminer.sixの基本的な使い方から、他のライブラリとの違い、そして座標取得のような応用テクニックまで、幅広く理解が深まります。

pdfminerという名前は聞いたことあるけど…?」という方もご安心ください。実は、現在主流となっているのは後継版のpdfminer.sixです。その違いも含めて、分かりやすく解説していきますね。

目次

なぜpdfminer.six?PythonのPDFテキスト抽出ライブラリ比較

PythonでPDFを扱うライブラリはいくつか存在し、それぞれに得意なこと、不得意なことがあります。まずは、なぜpdfminer.sixが選ばれるのか、他の主要なライブラリと比較しながら見ていきましょう。

pdfminer.sixは高精度なレイアウト分析が強み

pdfminer.sixの最大の特徴は、PDFのレイアウトを詳細に分析できる点にあります。

単にテキストを文字列として抽出するだけでなく、各文字や単語が「ページのどの位置にあるか(座標)」、「どんなフォントやサイズか」といったメタ情報まで取得可能です。

そのため、請求書や論文のように、レイアウトが複雑なPDFから特定の項目を正確に抜き出したい場合に、非常に強力なツールとなります。

例えば、「この矩形範囲内にあるテキストだけを抽出する」といった処理も実現できます。

一方で、他のライブラリに比べて学習コストがやや高い、処理速度が少し遅いといった側面もありますが、その高機能さが多くの開発者に支持される理由です。

他の主要ライブラリとの比較表

pdfminer.six以外のライブラリも、用途によっては最適な選択肢となります。それぞれの特徴を比較表にまとめました。

ライブラリ名特徴こんな人におすすめ
pdfminer.sixレイアウト分析が非常に高機能。座標やフォント情報も取得できる。複雑なレイアウトのPDFから正確に情報を抽出したい人
PyPDF2シンプルで使いやすい。ページの分割・結合など、テキスト抽出以外の機能も豊富。まずは手軽にPDF操作を始めてみたい初心者
PyMuPDF (fitz)非常に高速。テキスト抽出だけでなく、画像抽出やPDFのレンダリングも得意。処理速度を重視する人、大量のPDFを扱う必要がある人
pdfplumberpdfminer.sixを内部で使用し、より直感的に扱えるようにしたもの。表の抽出が得意。pdfminer.sixの機能を手軽に使いたい人、PDF内の表データを扱いたい人

このように、目的によって使い分けるのがおすすめです。今回は、高精度な抽出を目指す第一歩として、pdfminer.sixのインストール方法から見ていきましょう。

pdfminer.sixの環境構築と基本のテキスト抽出

それでは、実際にpdfminer.sixを動かす準備を始めます。環境構築はとても簡単で、テキスト抽出の基本コードも数行で書けてしまいますよ。

pipで簡単インストール

まずは、ターミナルやコマンドプロンプトで以下のコマンドを実行し、pdfminer.sixをインストールします。

pip install pdfminer.six

Pythonのプロジェクトでは、プロジェクトごとに環境を分離できる「仮想環境」の利用が推奨されます。もし仮想環境を使っている場合は、その環境を有効化(activate)してから上記のコマンドを実行してくださいね。

インストールできたか不安な場合は、pip listコマンドで一覧にpdfminer.sixが表示されるか確認してみましょう。

最もシンプルなテキスト抽出コード

インストールが完了したら、早速PDFからテキストを抽出してみます。

pdfminer.sixには、手軽に使える高レベルな関数群が用意されており、extract_textという関数を使えば、たったこれだけのコードでテキストの抽出が可能です。

実際の運用では、ファイルが存在しない場合に備え、try-except文でエラーを捕捉することをおすすめします。

# high_levelモジュールからextract_text関数をインポート
from pdfminer.high_level import extract_text

# PDFファイルへのパスを指定
pdf_path = 'sample.pdf'

try:
    # PDFからテキストを抽出
    text = extract_text(pdf_path)
    
    # 抽出したテキストを表示
    print(text)

except FileNotFoundError:
    print(f"エラー: ファイルが見つかりません。パスを確認してください: {pdf_path}")

sample.pdfの部分を、ご自身が用意したPDFファイルのパスに書き換えて実行してみてください。PDFの内容が文字列として出力されれば成功です。

非常にシンプルですが、これだけでも多くのケースで役立つのではないでしょうか。

【実践】pdfminer.sixの応用的な使い方

基本的なテキスト抽出ができるようになったら、次はpdfminer.sixの真骨頂である、レイアウト情報を活用した応用的な使い方に挑戦してみましょう。

PDFのレイアウト情報を取得する方法(座標・フォントなど)

テキストの位置やフォントといった詳細な情報を得るには、少しコードが複雑になります。pdfminer.sixは、PDFの要素をLTTextBoxHorizontal(テキストボックス)やLTChar(個々の文字)といったオブジェクトとして階層的に捉えます。

これらのオブジェクトを一つずつ調べていくことで、詳細な情報にアクセスできるのです。

以下のコードは、ページ内の各テキスト要素をループで処理し、そのバウンディングボックス(座標)とテキスト内容を取得する例です。

from pdfminer.high_level import extract_pages
from pdfminer.layout import LTTextContainer
import sys

# PDFファイルへのパス
pdf_path = 'sample.pdf'

try:
    # ページごとにレイアウトオブジェクトを抽出
    for page_layout in extract_pages(pdf_path):
        print(f"--- Page {page_layout.pageid} ---")
        for element in page_layout:
            # テキストコンテナであるかチェック
            if isinstance(element, LTTextContainer):
                # element.bboxで要素全体の座標(x0, y0, x1, y1)が取れる
                print(f"座標: {element.bbox}, テキスト: '{element.get_text().strip()}'")

except FileNotFoundError:
    print(f"エラー: ファイル '{pdf_path}' が見つかりません。", file=sys.stderr)

このbboxx0, y0, x1, y1)が、ページの左下を原点としたテキスト範囲の座標です。この情報を利用すれば、「ページの上半分のテキストだけを抜き出す」といった、より高度な処理が実現できます。

複数ページのPDFを効率的に処理する

先ほど紹介したextract_text関数は、実はページ番号を指定することもできます。例えば、3ページ目だけを抽出したい場合は、以下のように記述します。

from pdfminer.high_level import extract_text

pdf_path = 'sample.pdf'
# 0から始まるので、3ページ目は「2」
target_pages = {2} 

text = extract_text(pdf_path, page_numbers=target_pages)
print(text)

複数のページ(例:1ページ目と3ページ目)を指定したい場合は{0, 2}のようにset(セット)で渡すことが推奨されています(リスト[0, 2]でも動作します)。

もちろん、forループと組み合わせて、1ページずつ順番に処理していくことも可能です。大量のページがあるPDFを扱う際に、メモリを節約しながら効率的に処理を進められます。

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よくある疑問とエラー対処法

ライブラリを使っていると、予期せぬエラーや疑問にぶつかることがあります。ここでは、pdfminer.sixで特によくある質問とその解決策をまとめました。

画像ベースのPDFからテキストは抽出できる?

結論から言うと、pdfminer.sixは画像データからテキストを読み取ることはできません。

PDFには、テキスト情報が埋め込まれているものと、スキャンした書類のようにページ全体が1枚の画像になっているものがあります。

後者の場合、pdfminer.sixで抽出を試みても、何もテキストが得られないでしょう。

画像から文字を認識するには、OCR(光学的文字認識)という技術が必要です。PythonでOCRを実装する選択肢は近年増えており、以下のような組み合わせが人気です。

  • Tesseract OCR + pytesseract: 古くからある定番の組み合わせです。
  • pdf2image + pytesseract: PDFのページを画像に変換してからOCRにかける、実践的な手法です。
  • EasyOCR: Tesseractよりも導入が簡単で、多言語に対応した新しいライブラリです。
  • クラウドベースのOCR API: Google Cloud VisionやAmazon Textractなど、非常に高精度なOCR機能をAPI経由で利用できます。

パスワード付きPDFの扱いは?

閲覧にパスワードが必要なPDFも存在します。幸い、pdfminer.sixはパスワード付きPDFにも対応しています。

extract_text関数やextract_pages関数にはpassword引数が用意されており、ここにパスワードを文字列として渡すだけで、保護されたPDFのテキストを抽出可能です。

# パスワード付きPDFのテキストを抽出
text = extract_text('locked.pdf', password='your_password')
print(text)

パスワードを間違えるとエラーになるので、その点は注意してくださいね。

文字化けするときのチェックポイント

テキストは抽出できたものの、文字化けしてしまって読めない、というケースも時々あります。 この原因の多くは、PDFファイル自体が特殊なエンコーディングを使用していたり、フォントが正しく埋め込まれていなかったりすることに起因します。

現在のpdfminer.sixでは、文字コードを直接指定する引数はありません。 対処法としては、Pythonスクリプト自体のファイルエンコーディングを「UTF-8」で保存することや、実行環境のロケール設定を見直すことなどが挙げられます。しかし、PDF側の問題である場合、根本的な解決が難しいケースも少なくないのが実情です。

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まとめ:pdfminer.sixを使いこなしてPDF処理を自動化しよう

今回は、Pythonライブラリ「pdfminer.six」を使ったPDFのテキスト抽出について、基本的な使い方から応用までを解説しました。

  • pdfminer.sixは、座標やフォントなどのレイアウト情報を高精度に分析できる
  • 簡単なテキスト抽出なら、extract_text関数で数行のコードで実現可能
  • 応用すれば、特定の範囲のテキストだけを抜き出すといった高度な処理もできる
  • 画像ベースのPDFや文字化けなど、つまずきやすいポイントには注意が必要

手軽さを求めるならPyPDF2、速度を重視するならPyMuPDFといった選択肢もありますが、レイアウトが重要なPDFを正確に処理したいなら、pdfminer.sixは非常に頼りになる存在です。

この記事が、あなたのPDF処理自動化の一助となれば幸いです。

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