赤ちゃんが生まれて初めて迎える節句、「初節句(はつぜっく)」。
「一生に一度のことだから盛大に祝いたいけれど、具体的に何をすればいいの?」
「雛人形や五月人形は誰が買うべき?」
そんな疑問をお持ちのパパ・ママも多いのではないでしょうか。
結論から言うと、初節句でやるべきことは大きく分けて「飾り付け」「祝い膳(食事)」「記念撮影」の3つです。
昔ながらのしきたりもありますが、最近は住宅事情やライフスタイルに合わせた自由なお祝いスタイルが主流になっています。
この記事では、初節句の基本から、失敗しないための準備、気になるお金のマナーまで分かりやすく解説します。
初節句とは?一生に一度の大切な行事
初節句とは、赤ちゃんが生まれて初めて迎える節句のことで、子供の健やかな成長と厄除けを願う日本古来の伝統行事です。
節句は季節の節目に行われる行事で、邪気を払い無病息災を祈るという意味があります。
生まれたばかりの赤ちゃん(生後1ヶ月未満など)の場合は、お母さんと赤ちゃんの体調を優先し、翌年に持ち越して行うことも一般的です。無理に生後すぐに行う必要はありませんので、家族で相談して決めましょう。
男の子と女の子で異なる時期と意味
初節句の時期は性別によって異なります。
- 女の子:3月3日「桃の節句(上巳の節句)」
- 男の子:5月5日「端午の節句」
女の子の「桃の節句」には、桃の花が持つ魔除けの力にあやかり、優しく美しく育つようにという願いが込められています。
一方、男の子の「端午の節句」は、武家社会の風習が由来です。鎧や兜を飾ることで「身を守る」という意味や、たくましく立派に成長してほしいという願いが込められています。
どちらも、主役である赤ちゃんを囲んで家族みんなで成長を喜び合う、温かいイベントであることに変わりはありません。
【男女別】初節句の具体的なお祝い方法
初節句の祝い方は、男女で用意する飾りや食べる料理が異なります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
男の子(端午の節句)の飾りと食べ物
男の子のお祝いでは、「内飾り」と「外飾り」の2種類を用意するのが正式とされています。
- 飾り(内飾り): 鎧飾り、兜飾り、武者人形など。事故や病気から身を守るための「お守り」の意味があります。
- 飾り(外飾り): 鯉のぼり。立身出世を願い、天の神様に「男の子が生まれました」と知らせる目印です。
- 食べ物: 柏餅(かしわもち)、ちまき。
- 柏餅:柏の葉は新芽が出るまで古い葉が落ちないことから「家系が絶えない(子孫繁栄)」を象徴します。
- ちまき:中国の故事に由来し、災厄を避ける魔除けの意味があります。
食事会では、出世魚であるブリや、真っ直ぐ伸びるタケノコを使った料理、お祝いごとの定番である赤飯などがよく振る舞われます。
女の子(桃の節句)の飾りと食べ物
女の子のお祝いといえば、華やかな雛人形です。
- 飾り: 雛人形。赤ちゃんに降りかかる厄を代わりに受けてくれる「身代わり」とされ、幸せな結婚や生活を願って飾ります。
- 食べ物: ちらし寿司、はまぐりのお吸い物、ひし餅、雛あられ。
- はまぐり:対の貝殻しかぴったり合わないことから、「相性の良い伴侶に恵まれる(夫婦円満)」ことを願います。
- ちらし寿司:エビ(長寿)、レンコン(見通しがきく)など縁起の良い具材をふんだんに使います。
【比較表】男の子と女の子のお祝いの違い
| 項目 | 男の子(端午の節句) | 女の子(桃の節句) |
|---|---|---|
| 日程 | 5月5日 | 3月3日 |
| 飾り | 兜、鎧、鯉のぼり | 雛人形、つるし雛 |
| 飾る時期 | 春分の日過ぎ〜4月中旬頃 | 立春(2月4日頃 ※年により変動あり)〜2月中旬 |
| 代表的な食事 | 柏餅、ちまき、ブリ、タケノコ | ちらし寿司、はまぐりのお吸い物、雛あられ |
| 願い | 逞しい成長、立身出世、厄除け | 健やかな成長、良縁、厄除け |
「人形は誰が買う?」準備のダンドリと費用負担
初節句の準備で最も悩むのが、「誰が節句飾り(雛人形・五月人形)を用意するのか」という問題です。
ここは地域差や世代間のギャップが出やすいポイントなので、早めの確認がトラブル回避の鍵となります。
「母方の実家が用意する」は昔の話?
伝統的な風習では、「雛人形や五月人形は母方の実家が用意する」とされてきました。
これには「嫁ぎ先の家で娘が肩身の狭い思いをしないように」「離れて暮らす孫の顔を頻繁に見に行く口実として」といった意味合いがあったと言われています。
(※関西など一部地域では、父方が用意する風習もあります)
しかし、現代ではこのルールはかなり柔軟になっています。
「両家で費用を折半する」「パパ・ママが自分たちで好みのものを買い、祖父母はお祝い金を包む」というケースが非常に増えています。
現代の住宅事情とトラブル回避術
最近のアパートやマンションでは、大きな七段飾りや立派な鎧兜を飾るスペースがないことも珍しくありません。
祖父母が良かれと思って大きな人形を買ってくれたものの、「置く場所がない…」と困ってしまうケースも。
後悔しないためには、以下のステップで進めるのがおすすめです。
- パパ・ママで希望を固める:「コンパクトな収納飾りがいい」「インテリアに合うモダンなデザインがいい」など、サイズや予算の目安を決めます。
- 両家の祖父母に相談する:「自分たちで選びたい」のか「甘えてもいいのか」を伝えます。「母方の実家が買うもの」と思い込んでいる祖父母もいるため、角が立たないよう「最近は両家で出し合うことも多いみたいですが、どうしましょうか?」と相談してみましょう。
お祝い金の相場とお返しのマナー
初節句にあたり、祖父母や親戚からお祝い金をいただくことがあります。
失礼のないよう、一般的な相場とお返しのルールを押さえておきましょう。
お祝い金の相場(祖父母・親戚)
あくまで目安ですが、最近の傾向として以下の金額が一般的です。
- 祖父母: 30,000円〜300,000円
- 幅が広いのは、人形代を含むかどうかの違いです。人形を買わない(現金のみ)場合は3〜5万円程度、人形代を負担する場合は10〜30万円になることもあります。
- 親戚(おじ・おばなど): 5,000円〜10,000円
食事会を開くなら「内祝い」は不要?
基本的には、お祝いの食事会に招待し、おもてなしをすること自体がお返し(内祝い)となります。
食事会を開き、帰りに手土産(お菓子など)を渡せば、別途品物を贈る必要はありません。
遠方で食事会に来られない方や、食事会を開かない場合は、いただいた金額の「3分の1〜半額(半返し)」を目安に、内祝いの品を贈ります。
- 時期: お祝いをいただいてから(または節句の日から)1ヶ月以内。
- のし: 紅白の蝶結び。表書きは「初節句内祝」または「内祝」。名入れは「赤ちゃんの名前」を書きます。
現代のトレンド:自宅派?外食派?
お祝いの食事会をどこでするかも重要なポイントです。
最近は「無理をしない」がキーワード。それぞれのメリットを見て選びましょう。
リラックスできる「自宅でお祝い」
赤ちゃんがまだ小さい場合、自宅が一番安心です。
授乳やお昼寝のタイミングを気にせず、周囲に気を使う必要もありません。
- メリット: 低予算で済む、赤ちゃんがぐずっても安心。
- 食事: 手作りのちらし寿司や、宅配のお祝い膳を利用するのも手です。最近はネット通販で、尾頭付きの鯛やハマグリのお吸い物がセットになった「初節句セット」も販売されています。
準備の手間なし「レストラン・料亭」
準備や片付けの手間を省きたい場合は、外食がおすすめです。
個室のあるお店や、ホテル、料亭などでは「初節句プラン」を用意しているところも多くあります。
- メリット: 準備・片付け不要、特別感のある豪華な食事が楽しめる。
- 注意点: 赤ちゃん連れOKか、個室があるか、授乳室やおむつ替えスペースがあるかを事前に必ず確認しましょう。
- 支払い: 主催者であるパパ・ママが支払うのが一般的ですが、祖父母が支払いを申し出てくれる場合もあります。その際はありがたく受けてもマナー違反ではありません。
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まとめ
初節句は、赤ちゃんが無事に育っていることを感謝し、これからの幸せを願う温かい行事です。
伝統やしきたりも大切ですが、何より重要なのは「家族みんなが笑顔で過ごせること」。
高価な人形や豪華な食事にこだわりすぎて、パパやママが疲れてしまっては本末転倒です。
- 飾りはライフスタイルに合わせて選ぶ。
- 人形の購入は事前に両家と相談する。
- 食事会を開くなら、それがお返し代わりになる。
これらのポイントを押さえて、それぞれの家庭らしい素敵な初節句を迎えてくださいね。
赤ちゃんの健やかな成長を、心よりお祈り申し上げます。








