「put up with」の意味が「我慢する」だと学校で習ったものの、いざ英会話となるとパッと口から出てこない、というお悩みはありませんか?
結論からお伝えすると、「put up with」は「不快な状況や嫌な人を、仕方なく受け入れて我慢する」というニュアンスを持つ、日常会話で非常に頻繁に使われる英語表現です。
どうしても丸暗記に頼ろうとするから忘れてしまうのであって、単語が持つ「コアイメージ」を掴めば、一生忘れない使える知識へと変わります。
本記事では、「put up with」の正しい意味やネイティブが感じるニュアンス、そして語源イメージを使った効果的な覚え方を分かりやすく解説していきます。
さらに、bearやendure、tolerateといった類義語との違いも比較表で整理しました。
この記事を最後まで読んでいただければ、「put up with」を実際のコミュニケーションの場で、自信を持って自然に使いこなせるようになるはずです。
「put up with」の基本的な意味とネイティブのニュアンス
英熟語をマスターするための第一歩は、辞書的な意味だけでなく、ネイティブスピーカーがその言葉に込めている「感情」や「ニュアンス」を理解することにあります。
ここでは、「put up with」がどのような場面で、どのような気持ちを伴って使われるのかを詳しく掘り下げていきましょう。
ベースとなる意味は「(不快なことを)我慢する・耐える」
「put up with」の最も基本的な意味は、「不快なこと、困難な状況、あるいは気に食わない人物に対して我慢する、耐え忍ぶ」というものです。
例えば、隣の部屋から聞こえてくる騒音、職場の理不尽なルール、友人のルーズな態度など、自分にとってマイナスとなる要素を受け入れざるを得ない状況でよく用いられます。
日本語の「我慢する」という言葉は非常に守備範囲が広く、痛みをこらえる時や、欲しいものを我慢する時にも使われます。
しかし、英語の「put up with」は、主に「外部から与えられる不快な刺激や状況」に対して耐えている状態を指すのが特徴です。
そのため、「ダイエット中でケーキを食べるのを我慢する」といった、自制心による我慢には使われませんので注意しておきましょう。
諦めや「仕方なく」という感情が含まれる
ネイティブスピーカーが「put up with」を使う時、そこには一種の「諦め」や「文句を言わずに仕方なく受け入れている」というニュアンスが含まれています。
積極的に受け入れているわけではなく、「本当は嫌だけれど、状況を変えられないから、あるいは波風を立てたくないから、現状のままにしておく」という消極的な許容の姿勢が表れているのです。
このニュアンスを理解しておくと、後ほど紹介する他の「我慢する」を表す英単語との使い分けが非常にスムーズになります。
「文句はあるけれど、とりあえず現状を維持して耐えている」という、少しモヤモヤした感情を伴うのが「put up with」のリアルな響きだと言えるでしょう。
暗記は不要!「put up with」の効果的な覚え方とイメージ
「put up with」=「我慢する」と呪文のように何度も唱えて暗記しても、数日後には「あれ、なんだっけ?」と忘れてしまう方が少なくありません。
熟語を効率よく定着させるためには、構成する単語それぞれのイメージを組み合わせ、一枚の「絵」として頭の中に思い描く覚え方が最も効果的です。
3つの単語(put・up・with)のコアイメージを分解する
この熟語を理解するために、まずは「put」「up」「with」という3つの単語が持つコアイメージを一つずつ分解してみましょう。
まず「put」は、「あるものを特定の場所に配置する、置く」というのが基本のイメージです。物理的なものだけでなく、状況や状態を配置するという意味合いも持ち合わせています。
次に「up」ですが、これは単に「上へ」という方向を表すだけでなく、「現れる」「目の前に提示される」といったニュアンスも持っています。例えば、「What’s up?(どうしたの?/何が起こっているの?)」という表現にも、出来事が目の前にポンと現れたイメージが隠れています。
最後に「with」は、「〜と一緒に」「〜を伴って」という「同伴」や「付帯状況」を表す前置詞です。
これら3つの要素をバラバラに理解することが、次のステップで一つのストーリーを作り上げるための重要な下準備となります。
「不快なものを上に掲げて一緒にいる」という視覚的イメージ
それでは、先ほど分解した3つのコアイメージを繋ぎ合わせてみましょう。
「put(置く)」+「up(上に・目の前に)」+「with(一緒に)」となりますね。
これを直訳的に捉えると、「何かを目の前の高い位置に置き、それと一緒にいる」という状態になります。
想像してみてください。
あなたの目の前に、見たくもない嫌なもの(不快な状況や人物)がドスンと置かれています。
あなたはそれを避けて通ることができず、目の前に「提示された(put up)」状態のまま、それと「一緒に(with)」過ごさなければなりません。
嫌なものを目の前に掲げられた状態で、仕方なく付き合っている……この情景こそが、「put up with」が「我慢する」という意味になる最大の理由なのです。
語源から紐解く!「荷物を棚の上に置く」という説
もう一つ、非常に面白くて覚えやすい語源の説をご紹介します。
明確な語源として学術的に確立されているわけではありませんが、イメージを助ける俗説(民間語源)として広く知られているものに、古い時代の旅行者が馬車や宿屋で「重い荷物を高い棚の上に持ち上げて置く(put up)」という動作から来ているという説があります。
重くて邪魔な荷物であっても、旅を続けるためにはそれと「一緒に(with)」行かなければなりません。
「どっこいしょ」と重い荷物を棚の上に置き(put up)、その煩わしい荷物と共に(with)過ごす、という物理的な負担や苦労が転じて、精神的な重荷(不快な状況)に「耐える」「我慢する」という意味に発展したと言われています。
「目の前に嫌なものを置かれて一緒にいる」というイメージでも、「重い荷物を背負いながら旅をする」というイメージでも構いません。
自分がよりしっくりくる情景を頭に思い浮かべることで、「put up with」は単なる文字の羅列から、生きた英語表現へと進化するはずです。
実践で使える!「put up with」のシチュエーション別英語表現と例文
イメージが掴めたところで、今度は実際の英会話でどのように使われるのかを見ていきましょう。
「put up with」は、人に対しても、状況や環境に対しても幅広く使うことができます。ここでは、よくあるシチュエーション別の例文と、その解説をまとめました。
職場の人間関係や他人の態度に「我慢する」場合
職場の同僚の嫌な癖や、上司の理不尽な要求など、人間関係における「我慢」は日常茶飯事です。
人や他人の態度に対して「put up with」を使う場合、「本当は文句を言いたいけれど、波風を立てないために黙って受け入れている」という心理がよく表れます。
例文1:
I don’t know how she puts up with her boss.
(彼女がどうやってあのボスに我慢しているのか分からないよ。)
例文2:
He is so selfish, but we have to put up with him.
(彼はとても自分勝手だけど、私たちは彼を我慢しなきゃならないんだ。)
このように、特定の人物(her boss, him)や、その人の行動を直接目的語に取ることができます。
相手の性格を変えることはできないから、仕方なく自分が適応しているというニュアンスが伝わってきますね。
騒音や悪天候など、環境に「我慢する」場合
人の態度だけでなく、自分ではコントロールできない環境の悪さや、一時的な不快な状況に対しても「put up with」はよく使われます。
工事の騒音、夏の猛暑、通勤ラッシュの混雑など、日常生活には耐えなければならない要素が溢れています。
例文3:
We had to put up with the loud noise from the construction site all day.
(私たちは一日中、工事現場からの大きな騒音に我慢しなければならなかった。)
例文4:
I love living in this city, but I can’t put up with the terrible traffic.
(この街に住むのは好きだけど、ひどい交通渋滞には我慢できない。)
環境要因に対して使う場合も、「嫌だけれどどうしようもない」というニュアンスは共通しています。
特に、例文4のように「良い部分もあるけれど、この部分だけは耐え難い」と対比させる使い方は、会話でも非常に便利です。
否定文で「もうこれ以上は我慢できない!」と伝える場合
「put up with」は、肯定文よりも否定文で使われる頻度が高いかもしれません。
「cannot put up with 〜(〜を我慢できない)」や「won’t put up with 〜(〜を我慢するつもりはない)」という形で、堪忍袋の緒が切れた状態や、強い拒絶の意志を表すことができます。
例文5:
I can’t put up with this nonsense anymore!
(もうこんな馬鹿げたことには我慢できない!)
例文6:
I will not put up with your bad behavior any longer.
(これ以上、あなたの悪い態度を我慢するつもりはありません。)
「anymore」や「any longer(これ以上〜ない)」といった表現と組み合わせて使われることが多く、限界に達した感情を表現するのに最適なフレーズです。
映画やドラマの口論のシーンなどでも頻出するので、ぜひリスニングの際にも注意して聞いてみてください。
「put up with」と他の「我慢する」英語表現の使い分け
英語には「put up with」以外にも、「我慢する」「耐える」と訳される単語がいくつか存在します。
代表的なものに bear, stand, endure, tolerate がありますが、それぞれ微妙にニュアンスや使われる場面が異なります。
これらを正確に使い分けられるようになると、英語表現の幅がグッと広がります。
bear / stand:日常的な我慢や否定文での定番
「bear」と「stand」は、「put up with」と非常に近い意味を持ち、日常会話でよく使われる単語です。
どちらも「不快なものに耐える」という意味ですが、主に「can’t bear」「can’t stand」のように否定文で「我慢できない!」という感情をストレートに表現する際に好まれます。
「bear」は、重い荷物を「背負う・耐え抜く」というコアイメージがあり、精神的・肉体的な苦痛に耐えるニュアンスがあります。
一方「stand」は、困難な状況でも「しっかりと立っている」というイメージから、不快な状況に持ちこたえることを意味します。
「I can’t stand him!(彼には本当に我慢ならない!=大嫌いだ)」といったように、「stand」の方がより口語的で、感情的な嫌悪感を強く表す傾向があります。
endure:長期的な苦痛や困難にじっと耐え抜く
「endure」も「我慢する」と訳されますが、「put up with」よりもはるかに深刻で、長期的な苦難に対する忍耐を表します。
病気による慢性的な痛み、過酷な自然環境、戦争の苦難など、簡単に逃げ出すことができない重い状況に「じっと耐え忍ぶ」という硬い響きを持つ単語です。
例えば、「He endured a lot of pain.(彼は多くの痛みに耐えた)」のように使われます。
日常的な「エアコンが効いていなくて暑いのを我慢する」程度のことに「endure」を使うと、大げさすぎて不自然に聞こえてしまうため注意が必要です。
重みと深刻さが伴う「我慢」だと覚えておきましょう。
tolerate:権限を持つ人が寛大に許容する・大目に見る
「tolerate」は、少しフォーマルな響きを持つ単語で、「(本当は好ましくないが)許容する、大目に見る」というニュアンスがあります。
「put up with」が「仕方なく我慢している個人の感情」に焦点が当たっているのに対し、「tolerate」は「権限や立場のある人が、ルールや基準に照らし合わせて容認する」という客観的な響きを持ちます。
例えば、学校の先生が「I will not tolerate cheating in my class.(私の授業でカンニングは許しません/大目に見ません)」と言うような場面でぴったりです。
多様な意見や信仰を「尊重する、許容する」という意味で使われることも多く、社会的な文脈でよく目にする単語です。
【比較表】「我慢する」を表す英単語のニュアンス一覧
ここまで解説してきた類義語の違いを一目で把握できるよう、比較表にまとめました。
それぞれの持つイメージとフォーマル度を確認し、状況に合わせて最適な単語を選んでみてください。
| 英単語 | 意味・ニュアンス | フォーマル度 | よく使われる例文 |
|---|---|---|---|
| put up with | 不快な状況や人を、仕方なく受け入れて我慢する。文句を言わずに耐える。 | カジュアル〜一般的 | I can’t put up with his attitude. (彼の態度には我慢できない) |
| bear | 精神的・肉体的な苦痛や重荷に耐える。否定文でよく使われる。 | 一般的 | I can’t bear seeing her cry. (彼女が泣いているのを見るのは耐えられない) |
| stand | 不快な状況に持ちこたえる。感情的な嫌悪感を伴い「大嫌い」というニュアンスにも。 | カジュアル(口語的) | I can’t stand this heat. (この暑さには我慢できない) |
| endure | 長期的な苦難や深刻な痛みに、じっと耐え抜く。深刻度が高い。 | フォーマル・硬め | They had to endure a long winter. (彼らは長い冬に耐えねばならなかった) |
| tolerate | 好ましくない物事を、権限のある人が寛大に許容する、大目に見る。 | フォーマル | We do not tolerate bullying. (私たちはいじめを容認しません) |
さらに表現の幅を広げる!「我慢する」に関連するイディオム
「put up with」などの基本的な単語に加えて、ネイティブがよく使う「我慢」に関連するユニークなイディオム(慣用句)をいくつかご紹介します。
これらを会話のスパイスとして使えるようになると、英語力が一段階アップしたような印象を与えることができます。
bite the bullet:嫌なことを覚悟して受け入れる
「bite the bullet」は、直訳すると「銃弾を噛む」となります。
麻酔がなかった時代、兵士が手術の痛みに耐えるために銃弾を強く噛み締めたという歴史的な背景から生まれたという説が有名です。
そこから転じて、「避けては通れない嫌なことや困難を、覚悟を決めて受け入れる、我慢してやり遂げる」という意味で使われます。
「I hate going to the dentist, but I’ll just have to bite the bullet.(歯医者に行くのは大嫌いだけど、覚悟を決めて行くしかない。)」といったように、気合いを入れて嫌なことに立ち向かう場面でぴったりの表現です。
grin and bear it:笑って耐える・苦笑いしてやり過ごす
「grin(歯を見せてニヤリと笑う)」と「bear(耐える)」を組み合わせた「grin and bear it」は、「不平を言わずに笑顔でやり過ごす、苦笑いして耐える」という意味のイディオムです。
状況を変えられない時に、しかめっ面をするのではなく、愛想笑いを浮かべてなんとかその場をやり過ごす、という大人の対応を表す際に使われます。
「The meeting was incredibly boring, but I had to grin and bear it.(会議は信じられないほど退屈だったが、笑って耐えるしかなかった。)」のように、日常のちょっとした厄介事に対してよく用いられます。
hold back:感情や涙をぐっとこらえる
「hold back」は、直訳の「後ろに(back)保持する(hold)」というイメージ通り、外に出そうになる感情や涙、言葉などを「ぐっとこらえる、抑え込む」という意味の表現です。
外部からの不快感に耐える「put up with」とは異なり、自分自身の内側から湧き上がるものをコントロールする「我慢」です。
「She tried to hold back her tears.(彼女は涙をこらえようとした。)」や、「I held back my anger.(私は怒りをぐっとこらえた。)」のように、感情を抑制するシーンで非常に役立つフレーズとなっています。
「put up with」を使う際の注意点とよくある間違い
大変便利な「put up with」ですが、使い方を誤ると不自然な英語になってしまうこともあります。
ここでは、学習者が陥りやすいミスや、使う際の注意点について確認しておきましょう。
フォーマルなビジネス文書には不向きなカジュアルさ
「put up with」は句動詞(動詞+副詞/前置詞)であり、基本的には口語的でカジュアルな表現に分類されます。
そのため、友人との会話や日常的な社内コミュニケーションであれば全く問題ありませんが、公的なビジネス文書や顧客向けの正式なメール、学術論文などでの使用は避けた方が無難です。
フォーマルな場面で「〜を許容する」「〜に耐える」と表現したい場合は、先ほどの比較表でも紹介した「tolerate」や「endure」に言い換えるのが適切です。
TPOに合わせて単語のトーン(硬さ)を切り替えられるように意識しておきましょう。
受動態(受け身)の形ではあまり使われない理由
英語の動詞句の中には受動態にして使えるものも多いですが、「put up with」は受動態(〜 is put up with)の形で使われることは比較的まれです。
文法的には成立するため、「His bad behavior will not be put up with.」のように使われることもありますが、少し硬く、ぎこちない響きになりがちです。
日常会話においては、基本的に能動態で「Everyone puts up with his bad behavior.(誰もが彼の悪い態度を我慢している。)」と表現する方がはるかに自然です。
主語(我慢している人)を明確にして使う表現だと覚えておいてください。
「put up with」を英会話でとっさに口から出すための学習法
ここまで「put up with」の意味や使い方をインプットしてきましたが、知識を知っているだけでは会話で使えるようにはなりません。
最後に、この表現をスッと口から出せるようにするための、実践的なアウトプット学習法を2つご紹介します。
音声変化を意識した音読トレーニング
英会話でとっさに言葉を出すためには、口の筋肉にフレーズを覚えさせることが不可欠です。
「put up with」を音読する際、単語を一つずつ「プット・アップ・ウィズ」と区切って発音するのではなく、単語同士の繋がり(リンキング)を意識してみてください。
ネイティブが発音すると、「put」の「t」と「up」の「u」が繋がって「プゥラッ(プ)」のような音に変化し、さらに「with」が続いて「プゥラッ(プ)ウィズ」のように一つの流れるような音の塊になります。
この音声変化を真似て、何度も声に出して練習しましょう。
「I can’t put up with it.」という短い文を、1日10回、スラスラ言えるまで繰り返すだけで、いざという時の瞬発力が劇的に変わります。
自分の身の回りの「不満」を英語で実況中継してみる
もう一つの効果的な方法は、日常生活の中で自分が「我慢していること」を見つけ、それを頭の中で英語にしてつぶやいてみる(独り言英語)というトレーニングです。
教科書の例文を丸暗記するよりも、自分自身のリアルな感情と結びついた表現の方が、記憶に深く定着するからです。
例えば、満員電車に乗っている時に「I have to put up with this crowded train…(この満員電車に我慢しなきゃ…)」と思ってみる。
あるいは、パソコンの動作が遅い時に「I can’t put up with this slow computer anymore!(この遅いパソコンにはもう我慢できない!)」と心の中で毒づいてみる。
このように、身近な出来事と「put up with」を紐づける習慣をつけることで、実際の会話でも自然にこのフレーズが飛び出してくるようになるはずです。
まとめ:「put up with」をマスターして英語の表現力を高めよう
今回は「put up with」の意味やコアイメージ、類義語との使い分けについて解説しました。
単なる「我慢する」という暗記ではなく、「嫌なものを目の前に置かれて、仕方なく一緒にいる」というイメージを持てば、ネイティブの感覚に近い形でインプットできるはずです。また、bearやendureなどの類義語と状況に応じて使い分けることで、より正確に自分の感情を伝えられるようになります。
まずは日々の独り言や音読トレーニングに取り入れて、実際の英会話でも「put up with」を自信を持って使いこなしてみてくださいね。









