【HTML】レスポンシブ画像の最適化テクニック｜srcset・picture要素の実装と使い分け
ウェブサイトの閲覧端末はスマートフォンやタブレット、PCなど多様化が進んでいます。そのため、同じ画像を表示しても表示領域や解像度が異なる点に合わせた最適化が求められます。
特にモバイル回線では通信環境が必ずしも安定せず、高解像度の大きなファイルを無条件にダウンロードさせると表示に時間がかかり、ユーザーの離脱リスクが高まります。
レスポンシブ画像とは、こうしたデバイス特性を考慮しつつ、適切なサイズ・画質の画像を配信する手法を指します。
この記事ではsrcset属性と<picture>要素を中心に、具体的な実装例やパフォーマンス改善のポイントをわかりやすく解説します。
srcset属性の基本と使い方
srcset属性は、複数の画像ファイルを「幅」や「解像度」の条件ごとにブラウザに通知し、自動で最適なものを選択させる仕組みです。
たとえば同じ写真を400px、800px、1200pxの幅で用意し、<img>タグにそれぞれのURLと幅を指定します。
<img
src="image-small.jpg"
srcset="image-small.jpg 400w,
image-medium.jpg 800w,
image-large.jpg 1200w"
sizes="(max-width: 600px) 100vw,
50vw"
alt="レスポンシブ画像の例">
これによりブラウザは、ビューポートの幅やデバイスのピクセル比に応じて最適な画像を選び、不要なファイルダウンロードを回避します。
srcset単体でも基本的なレスポンシブ対応は可能ですが、sizes 属性と組み合わせることでよりきめ細かな制御が行えます。
参考：MDN Web Docs（Responsive images）
画面サイズや解像度に応じた候補画像の指定
srcsetでは各画像 URL のあとに「幅（w）」または「解像度倍率（x）」を指定できます。 たとえば
srcset="
image-1x.jpg 1x,
image-2x.jpg 2x,
image-3x.jpg 3x
"
と書けば、高 DPI ディスプレイ向けに解像度の高いファイルを割り当てられます。
この指定方法によって、ユーザー環境にぴったり合った画質・ファイルサイズのバランスを実現し、快適な表示を維持します。
srcsetとsizes属性の組み合わせ
sizes属性は、ビューポート幅に応じて画像の表示幅がどれくらいになるかをブラウザに伝える役割があります。 たとえば
sizes="(max-width: 600px) 100vw,
50vw"
と指定すれば、600px 以下の画面では表示幅がビューポート幅いっぱい、600px 以上では半分という条件を示せます。
これによりブラウザは、表示幅に対する最適な候補画像をsrcsetから選択し、本当に必要な解像度のファイルだけをダウンロードします。
特にレイアウトが変動するレスポンシブデザインの現場では、sizesを併用することで無駄な帯域消費を減らせます。
picture要素の活用シーンとメリット
<picture>要素は、<source>タグを複数用意して、より柔軟な条件分岐で画像を切り替えたい場合に利用します。
たとえば画面サイズだけでなく、アートディレクションの都合で特定のトリミング画像を別途提供したいときに便利です。
<picture>
<source
media="(min-aspect-ratio: 16/9)"
srcset="wide.jpg">
<source
media="(max-aspect-ratio: 16/9)"
srcset="tall.jpg">
<img src="fallback.jpg" alt="アートディレクション例">
</picture>
media属性でメディアクエリを指定し、端末幅や向き、解像度だけでなく、ライト／ダークモードなど多様な切り分けにも対応できます。
フォールバックやブラウザ対応の考慮
<picture>要素は比較的新しい仕様ですが、多くのモダンブラウザでサポートされています。とはいえ、まれに対応していない環境も残ります。
そこで最後に配置した<img>タグのsrcがフォールバックとして機能し、対応外のブラウザでも確実に画像が表示されます。
HTMLの仕様上は<img>を省略することも可能ですが、通常は互換性のために記述しておくのが一般的です。
また、一部古いメールクライアントやキャッシュプロキシでは<picture>の意図しない動作があるため、全体のサポート状況を確認しておくと安心です。
パフォーマンス改善のTipsと注意点
レスポンシブ画像を正しく実装しても、画像の圧縮率やフォーマット選び次第ではパフォーマンスが改善しないことがあります。
JPEGやPNGのほか、WebPやAVIFといった次世代フォーマットを併用し、同一品質でもファイルサイズを大幅に削減できる場合があります。
さらにCDN（コンテンツ配信ネットワーク）を活用し、地理的に近いサーバーから配信することで、応答速度を向上させられます。
近年では、Cloudflare Images や ImageKit、imgix など、画像最適化機能を備えたCDNサービスも増えており、レスポンシブ画像の配信効率をさらに高める選択肢として注目されています。
ただし、あまりに多くの<source>やフォーマットを用意するとブラウザの処理負荷が増すため、実際のアクセス解析をもとに適切な候補数に絞ることが重要です。
まとめ：適切な選択でユーザー体験を向上
レスポンシブ画像の最適化は、ユーザー属性やデバイス環境を考慮しつつ、適切な手法を選ぶことが重要です。
簡易的な対応ならsrcsetとsizesの組み合わせでコストを抑えつつ実装できますし、より複雑なアートディレクションには <picture> 要素が向いています。
いずれの場合も次世代フォーマットやCDNの活用を併せて検討し、実際のユーザーデータをもとに調整を重ねると、最適なパフォーマンスが得られます。
この記事を参考に、あなたのサイトでもレスポンシブ画像の導入や改善を進めてみてください。
