こいのぼりを飾る時期はいつ?真鯉と緋鯉の役割や色の意味を徹底解説

こいのぼりを飾る時期はいつ?真鯉と緋鯉の役割や色の意味を徹底解説

春の暖かさを感じる季節になると、空を泳ぐ「こいのぼり」の姿が見たくなりますね。しかし、いざ自宅で飾ろうとすると「いつから出して、いつ片付けるのが正解?」「そもそも、黒や赤の鯉にはどんな意味があるの?」と疑問が尽きないものです。

結論から言うと、こいのぼりを飾り始めるのは「春分の日(3月20日頃)」から「4月上旬」が目安です。そして、片付けるのは5月5日の端午の節句が終わってから、梅雨入り前の晴れた日がベストなタイミングと言えます。

この記事では、こいのぼりを飾る最適な時期や、意外と知らない真鯉・緋鯉の役割、色の意味について、分かりやすく解説します。

目次

こいのぼりを飾る時期はいつからいつまで?

こいのぼりを飾る時期に、法律のような厳密な決まりはありません。しかし、一般的には春のお彼岸が過ぎたあたりから準備を始め、4月上旬から中旬には飾り終えているご家庭が多いです。

「春分の日」を過ぎると気候も安定し、春らしい陽気が増えてきますよね。この時期を目安に出すことで、長く季節感を楽しむことができます。

飾り始めるベストなタイミング

地域によって差はありますが、4月上旬の大安など、天気の良い吉日を選んで飾るのがおすすめです。遅くとも、端午の節句(5月5日)の1週間前、つまり4月29日の「昭和の日」あたりまでには飾り付けを完了させましょう。

直前の5月4日や当日に飾ることは「一夜飾り」と呼ばれ、縁起が悪いとされる場合もあるため避けたほうが無難かもしれません。せっかくのハレの日の飾りですから、余裕を持って準備し、青空を泳ぐ姿を長く楽しみたいものですね。

片付ける時期と注意点

こいのぼりを片付ける時期も悩みどころですが、5月5日の端午の節句が終わったら、できるだけ早めに片付けるのが一般的です。

大切なのは「カレンダーの日付」よりも「天気」です。こいのぼりは布やナイロン製が多く、湿気を含んだまま片付けるとカビや色移りの原因になります。梅雨入り前の、空気が乾燥した晴れの日を選んで片付けてください。

地域によっては、旧暦の端午の節句(6月上旬)まで飾る風習がある場所もあります。お住まいの地域の習慣も一度確認してみると良いでしょう。

真鯉と緋鯉の役割とは?時代の変化に伴う家族像

童謡『こいのぼり』の歌詞に「お父さん」「子どもたち」が登場するように、現代ではこいのぼりは家族の象徴として親しまれています。しかし、その役割や意味は時代とともに変化してきました。

実は、江戸時代にこいのぼりが誕生した当初は、黒い「真鯉(まごい)」一匹だけを飾っていたのです。

江戸時代から明治時代の役割

こいのぼりの起源は、武家社会の「のぼり」に対抗して、町人が縁起の良い魚である「鯉」をのぼりにしたことに始まります。この頃は、家督を継ぐ男の子の誕生と成長を祝い、黒い真鯉のみを揚げていました。

つまり、当初の真鯉は「父親」ではなく「男の子(跡取り)」そのものを表していたのです。その後、明治から大正時代にかけて赤い「緋鯉(ひごい)」が加わりますが、この頃の緋鯉も母親ではなく、子ども(息子たち)を表すものでした。

昭和以降の家族構成と色の変化

現在のように「黒=父、赤=母、青=子」という家族の役割が定着したのは、昭和に入ってからです(昭和30年代後半以降)。東京オリンピック(1964年)の頃から家族団欒のイメージが強まり、童謡の影響もあって「こいのぼり=仲良し家族」という図式が完成しました。

時代に合わせて、緋鯉が息子からお母さんへと役割を変えたのは興味深い点です。現代では、女の子も含めた家族全員分の鯉を飾るご家庭も増えており、その形は多様化しています。

こいのぼりの色と吹き流しの意味を深掘り

こいのぼりのセットには、黒や赤の鯉だけでなく、一番上にカラフルな筒状の飾り「吹き流し」がついています。それぞれの色や飾りには、子どもの成長を願う深い意味が込められています。

ここでは、それぞれのモチーフが持つ意味を分かりやすく表にまとめました。

色と飾りの意味一覧表

種類一般的な色役割・意味
吹き流し五色(青赤黄白黒)魔除けの意味。古代中国の「五行説」に基づき、万物の要素を表して邪気を払います。
真鯉(まごい)父親。一家の大黒柱としての威厳や、冬の冷たい水にも耐える力強さを象徴しています。
緋鯉(ひごい)母親。生命力を表す赤色で、家族を包み込む温かさや愛情、子育ての健やかさを願います。
子鯉(こごい)青・緑・橙など子どもたち。青は若葉のようにすくすく育つ成長を意味し、数が増えるごとに色を追加します。
矢車(やぐるま)金・銀ポールの先端で回る車輪。どこから魔物が来ても追い払えるように、また神様に男児の誕生を知らせる目印です。

吹き流しの「五色」は魔除けのサイン

一番上でひらひらと舞う「吹き流し」は、単なる飾りではありません。青(木)、赤(火)、黄(土)、白(金)、黒(水)の五色は、中国の「五行説」に基づいており、この世のすべての要素を表しています。

「どんな悪いものからも子どもを守る」という強力な魔除けの願いが込められているのです。最近では、家紋や子どもの名前を入れたオリジナルの吹き流しも人気がありますね。

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現代の住宅事情に合わせたこいのぼりの選び方

昔ながらの大きな庭用こいのぼりは迫力がありますが、マンションやアパート住まいが多い現代では、飾るスペースに悩むことも少なくありません。しかし、最近は住宅事情に合わせたコンパクトで高機能な製品が増えています。

ベランダ用・室内用という選択肢

マンションのベランダの手すりに固定できる「ベランダ用スタンドセット」は、1.2m〜2m程度のサイズが主流です。取り付け金具が進化しており、傷をつけずに設置できるタイプも多く販売されています。

また、外に飾るのが難しい場合は「室内用こいのぼり」もおすすめです。吊るし飾りタイプや、兜(かぶと)の横に置ける卓上タイプなど、インテリアとしても楽しめるおしゃれなデザインが豊富です。

素材はポリエステルが主流

かつては綿素材が主流でしたが、現在はポリエステルやナイロンなどの化学繊維が一般的です。雨や風に強く、色褪せしにくいのが特徴です。撥水加工が施されているものを選べば、汚れにくく、急な雨でも慌てずに済みます。

まとめ

こいのぼりを飾る時期や、それぞれの鯉が持つ役割について解説しました。

飾る時期は春分の日以降から4月上旬が目安で、片付けは5月中旬頃の晴れた日に行うのがベストです。また、黒い真鯉はお父さん、赤い緋鯉はお母さんという現在の役割には、時代の変化とともに育まれた「家族の絆」への願いが込められています。

住宅環境が変わっても、子どもの健やかな成長を願う親心は変わりません。ぜひ、ご家庭に合ったスタイルでこいのぼりを飾り、素敵な端午の節句をお過ごしください。

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