「美味しい料理を出しているのに、お客さんが全然来てくれない…」
「立地が悪いから、どうしようもないんだろうか…」
地方で飲食店を経営する中で、集客は売上に直結する最大の悩みごとですよね。特にコロナ禍以降、経営状況が厳しくなったお店も少なくないはずです。
しかし、立地の不利を嘆く必要はありません。結論から言うと、地方の飲食店こそ「Web集客」に本気で取り組むべきです。
なぜなら、Web上ではお店の「立地」に関係なく、あなたのお店の魅力を「探しているお客様」に直接届けることができるから。
この記事では、Web集客の知識がゼロの初心者オーナーさんでも、赤字脱却を目指せるよう「まず何から手をつけるべきか」という優先順位に絞って、具体的な戦略を分かりやすく解説します。
なぜ地方の飲食店こそWeb集客が「効く」のか?
「Web集客なんて、都会のおしゃれな店がやるものでは?」と思うかもしれません。しかし、現実は逆です。地方の飲食店がWeb集客に取り組むべき、明確な理由が3つあります。
理由1:立地の不利を「検索」がカバーしてくれる
どれだけ美味しくても、お店の存在を知られなければお客様は来ません。特に地方では「駅前の一等地」でない限り、お店の前を通りかかる人の数には限界があります。
しかし、Web集客なら関係ありません。今のお客様は、「〇〇(地域名) ランチ」「〇〇(市) 居酒屋」とスマートフォンで検索してからお店を決めます。検索結果にあなたのお店が魅力的に表示されれば、たとえ路地裏にあっても「目的地」として探して来てくれるのです。
理由2:競合(ライバル店)がまだ本気ではない
都心部では、ほとんどの飲食店がWebマーケティングの専門家を雇い、莫大な予算を投じています。しかし、地方ではどうでしょうか?
「なんとなくSNSをやっている」「グルメサイトに登録しただけ」というお店がまだ大半です。だからこそ、あなたが少し本気になって正しいWeb集客を実践するだけで、地域の中で圧倒的に目立つ存在になれます。競合が弱い今こそ、最大のチャンスです。
理由3:チラシより低コストで「効果」がわかる
従来型の集客であるチラシや地域情報誌への掲載は、「どれくらいの人がチラシを見て来店したか」を正確に測ることが困難でした。
一方、Web集客はデータが全てです。「何人がお店のページを見たか」「何人が電話ボタンを押したか」「どの広告から予約に繋がったか」が明確にわかります。効果が出た施策にお金を集中させ、無駄な広告費を削減できるため、赤字脱却を目指すお店にとってこれ以上ない武器となります。
Web集客の全体像と初心者が手を出すべき優先順位
「Web集客が大事なのは分かった。でも、何をすればいいの?」と思いますよね。
一口にWeb集客といっても、以下のように様々な種類があります。
- Googleビジネスプロフィール
- LINE公式アカウント
- InstagramなどのSNS
- 食べログ、ぐるなび等のクチコミサイト
- 自社ホームページ
- リスティング広告(有料)
ここで初心者がやりがちな失敗が、これら全てに中途半端に手を出してしまうこと。
あれもこれもと手を出すと、結局どれも更新が止まり、成果が出ないまま「やっぱりWeb集客は難しい」と諦めてしまいます。
赤字脱却を目指すなら、優先順位が命です。
まず初心者が最優先で取り組むべきは、「無料」で「効果が絶大」な以下の2つだけ。
- Googleビジネスプロフィール(=新規のお客様に見つけてもらう「入口」)
- LINE公式アカウント(=一度来たお客様を「リピーター」にする仕組み)
この2つをしっかり整備するだけで、売上は大きく変わるはずです。余裕が出てきたら、他の施策(SNSやクチコミサイト)に取り組んでいきましょう。
【最優先①】Googleビジネスプロフィール(旧:マイビジネス)徹底活用術
今、あなたのお店を探しているお客様が「〇〇(地域名) パスタ」と検索した時、Googleマップや検索結果にあなたのお店の情報が出てこなかったら?…それは、インターネット上にあなたのお店が存在しないのと同じことです。
Googleビジネスプロフィールは、Google検索やマップにあなたのお店の情報を無料で表示させる、まさに「Web上の看板」です。これなしでは、Web集客は始まりません。
まずはこれだけ!初心者向け「やるべき事」リスト
難しい機能は後回しで構いません。まずは以下の3点を徹底しましょう。
- 基本情報を正確に登録する:
お店の名前、住所、電話番号、そして特に「営業時間」です。せっかく来たのに閉まっていた、という体験は最悪の口コミに繋がります。臨時休業や営業時間の変更は、必ず即時に更新しましょう。 - 魅力的な写真を登録する:
お客様は写真を見て「美味しそう」「雰囲気が良さそう」と判断します。暗くて美味しそうに見えない料理写真が登録されていませんか?「料理」「内観」「外観」の写真は、できるだけ明るく、魅力的なものを登録しましょう。 - 「最新情報」機能で日替わりメニューを発信する:
これは「ブログ」のように使える機能です。「本日の日替わりランチ」「今週のおすすめ地酒」といった最新情報を発信することで、お店がアクティブに営業していることをアピールできます。
最重要:口コミへの「誠実な」返信
Googleビジネスプロフィールで最も重要なのが「口コミ」への対応です。お客様は、お店が発信する情報よりも「他の客の口コミ」を信頼します。
- 良い口コミ:
「ありがとうございます!」「〇〇様にご満足いただけて嬉しいです。またのご来店を心よりお待ちしております」と、感謝を伝えましょう。 - 悪い口コミ(クレーム):
絶対に無視したり、感情的に反論してはいけません。他の多くのお客様が「お店の対応」を見ています。まずは「ご不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございませんでした」と謝罪。そして、事実確認と具体的な改善策(例:スタッフ教育を再徹底します)を誠実に返信しましょう。この対応一つで、ピンチが「信頼できるお店」というチャンスに変わることもあります。
【最優先②】LINE公式アカウントでリピーターを「仕組み」で増やす
新規のお客様を集めること(Google)と同じくらい、いえ、赤字脱却のためにはそれ以上に重要なのが、一度来てくれたお客様に「また来てもらう」ことです。
リピーターの確保は、お店の売上を安定させる最大の鍵。そこで活躍するのが「LINE公式アカウント」です。
なぜLINEか?それは、メルマガやSNSの投稿と違い、お客様のLINEに「プッシュ通知」で直接メッセージを届けられるからです。他のツールと比べて開封率が非常に高く、ブロックされない限りお客様の手元へ情報を届けられる、強力なツールです。
やるべき事①:店頭での「友だち登録」促進
まずは、来店してくれたお客様に友だち登録をしてもらう必要があります。
レジ横やテーブルにQRコードを設置し、「LINE友だち登録で、その場でドリンク1杯無料!」や「次回使える100円割引クーポンプレゼント!」といった、その場で登録する明確なメリットを提示しましょう。
やるべき事②:LINEショップカード(スタンプカード)の導入
「LINEショップカード」は、リピーター施策の決定版です。これはLINEの無料機能で、紙のスタンプカードをLINEアプリ内で実現できます。
お客様のメリットは絶大です。
- 財布がかさばらない
- 「あ、家に忘れてきた…」ということがなくなる
- スタンプの有効期限が近づくとLINEがお知らせしてくれる
お店側も、カード印刷代がゼロになります。「3回来店で餃子一皿」「5回来店で1,000円オフ」など、お客様が「あとちょっとで達成できる」と感じるゴールを設定するのが、再来店を促すコツです。
余裕が出てきたら取り組むべき次の施策
上記の「Google」と「LINE」がしっかり運用できるようになったら、次のステップに進みましょう。
クチコミサイト(食べログ・ぐるなび等)への登録
すでにお客様がお店の情報を探す場所として定着しているため、無視はできません。
ただし、いきなり高額な有料プランに申し込む必要はありません。まずは「無料プラン」で登録し、Googleビジネスプロフィールと同じく、営業時間や写真などの基本情報を正確に整備しておくことが重要です。
「あのお店、検索してもどこにも載ってないな…」という、機会損失を防ぐためのお守りとして登録しておきましょう。
Instagram(インスタグラム)でのファン作り
インスタは、お店の「世界観」や「こだわり」をビジュアルで伝え、ファンを作っていくのに最適なツールです。
ただし、日々の投稿や「映える」写真の準備など、運用にはそれなりに手間(コスト)がかかります。
「Google」と「LINE」という守りを固めた上で、攻めの施策として取り組むのがオススメです。
※インスタ集客の具体的なノウハウや、地方での効果的な広告戦略については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→地方の飲食店のためのインスタ集客術【Webマーケティングで失敗しない戦略】
まとめ:赤字脱却は「Google」と「LINE」から
地方の飲食店がWeb集客で赤字を脱却するために、いきなり難しい広告や、たくさんのSNSに手を出す必要はありません。
やるべきことはシンプルです。
- Googleビジネスプロフィールを徹底的に整備し、新規のお客様に「見つけてもらう」。
- LINE公式アカウントを導入し、一度来てくれたお客様を「リピーター」にする。
まずはこの2つの無料ツールを徹底的に使いこなすこと。これが、立地の不利を乗り越え、地域で愛される繁盛店になるための、最も確実で、最も近道な一歩です。


