「魔法を使いたい」「魔法が使えるようになる方法を知りたい」という欲求は、多くの人が一度は抱くものです。しかし、結論から言えば現実で「魔法を使う方法」はありません。少なくとも、科学的に立証されている・信頼に足る根拠のある方法は見つかっていません。
インターネット上や書籍を見ると、「魔法を使う方法」や「魔法を習得する方法」を真面目に(あるいは神秘的に)解説する情報があふれています。ですが、それらの記事に
- 科学的根拠は示されているでしょうか?
- 実際に使えたという信頼できるエビデンスは提示されているでしょうか?
- (もしそれを読んで試したのであれば)あなた自身が、本当に魔法を使えるようになった実感はありますか? ※もしかすると、ただ「魔法が使えるようになった“気”」になっているだけかもしれません。
もしあなたが「いやいや、私は本当に魔法を使えるようになった!」というならば、どうぞこの記事は読まずに、これからもその“魔法”を実践していただいて構いません。
昔のヨーロッパで言われる「魔女」は本当に魔法を使えたのか?
歴史書や民間伝承で語られる「魔女」や「魔法使い」。彼らが“本当の魔法”を使えたという証拠はあるのでしょうか?
実際には、当時「魔女」とされた人々の多くは、村人から迫害を受けたり、教会から異端視されたりした“冤罪の犠牲者”が大半だったとも言われています。「怪しい呪文を唱える」=「悪魔崇拝者だ」という図式で断罪された事例が非常に多く、現代のような科学的・客観的な検証はほぼ行われませんでした。
そのため、当時の裁判記録をいくら調べても、“魔法”が実在したという確固たる根拠は見つかっていません。もし本当に魔法が使えたのならば、裁判所や教会が認めるほどの圧倒的証拠があったはずですが、そういったものは残されていないのです。
「魔法っぽく見せる方法」はある
「実際の魔法を使う手段」は現時点で見つかっていませんが、誰かにとっては魔法のように見える技術は、この世界にいくらでも存在します。たとえば、手品やメンタリズムなどがそうですね。
心理術や数字、レトリック(言葉の使い方)を用いれば、まるで“魔法”を使っているかのような演出をすることが可能です。そして、この「魔法っぽい力」を
- 悪意をもって使い、人を騙し、お金を巻き上げる
- “魔法”と信じ込ませ、霊的な存在を操作しているかのように見せる
ということをするのが、いわゆるスピリチュアル系詐欺師や霊媒師と呼ばれる類の人たちだと考えられます。
一方、同じような心理術やテクニックを使っていても、
- 「これにはカラクリ(トリック)があるんです」
- 「あなたの心理を読み取っただけですよ」
と前置きしたうえでショーとして披露するのが、メンタリストやマジシャンです。手口や仕掛けの詳細をすべて明かすわけではありませんが、「不思議に見えるけどタネはある」と認めている点が大きな違いと言えます。
「誰かにとっての魔法使い」になるための技術
ここでは、「実際の魔法」は使えないけれど「魔法のように見える力」を身につけるためのヒントをいくつかご紹介します。もちろん詐欺や悪用をすすめるわけではなく、エンターテインメントやコミュニケーションの潤滑油として使える要素をまとめています。
1. 心理学的テクニックを活用する
- コールド・リーディング
相手の表情や仕草、口調などから情報を読み取って会話を組み立て、「まるであなたのことをすべて見透かしているかのような印象」を与える方法です。上手に使えば、相手に「この人は特別な力を持っているかも?」と思わせることができます。 - サブリミナル効果(プライミング)
相手が意識しないレベルでキーワードを提示し、その後の選択や回答に影響を与える技術です。たとえば、「赤い色」を幾度となく刷り込んでから「好きな色は?」と聞くと、赤を選ぶ可能性が高まるなど。
2. 数字や確率を使った演出
- 数当てマジック
シンプルに思える「あなたが思い浮かべた数字を当てる」手品でも、裏には数学的な仕組みが隠されていたりします。たとえば、足し算や掛け算を組み合わせたパズルを提示し、最終的に必ず特定の数字に収束させる、といった方法です。 - 確率論を巧みに利用
いくつかの選択肢を提示し、その大半が「当たったように見せる」確率操作のテクニックも存在します。全体の仕掛けを理解していない相手からすると「嘘みたいに当たる!」と感じられるものです。
3. レトリック(言葉の操り方)を工夫する
- 曖昧な言葉で、相手に“思い当たる節”を想起させる
たとえば、「あなたは最近、何か大きな決断を迫られたことがありますね?」のように、多くの人に当てはまりそうな言い方で共感を得る手法。占い師などがよく使うテクニックのひとつです。 - 二重肯定・逆説のバランス
「あなたはすごく努力家だけれど、ちょっと完璧主義なところがある」といったポジティブとネガティブを混ぜることで「完全に正しい」気がしてしまう、バーナム効果を応用した話術です。
また例えば、とても難しい”間違い探し”の答えを全て一瞬でパッと見つけられたら、魔法とまではいかずともある意味での「超能力・特殊能力」持ちに見えなくもないですね。笑
横並びの間違い探しを瞬時に解く裏技【平行法ですぐ見つけるコツとは】
まとめ
- 現実に魔法を使う方法は、今のところ科学的にも歴史的にも立証されたものはありません。
- 歴史上「魔女」と呼ばれた人たちも、魔法の存在を裏付ける証拠はほとんどなく、むしろ社会的迫害の犠牲者である可能性が高いです。
- しかしながら、「魔法を使っているように見せる」「誰かにとっては魔法と思わせる」技術は存在します。
- その技術を悪用しているのがスピリチュアル系詐欺師や霊媒師など、良い方向に(エンタメとして)使っているのがメンタリストやマジシャンです。
もしあなたが「ちょっと魔法使いっぽく見せてみたい」「コミュニケーションを円滑にしたい」「人を楽しませたい」と思うなら、心理術・確率・レトリックなどのテクニックを学んでみるといいかもしれません。ただし、それらはあくまで“仕組み”や“テクニック”であり、超自然的な“魔法”ではないことをくれぐれも忘れないでください。
「どうしても本当の魔法を使いたい!」という方へ
科学的根拠が出てきたら、あるいは実証実験に成功したら、そのとき改めて挑戦してみてはいかがでしょうか。現時点ではそのような事例は見当たりませんが、もし将来技術が進歩して“魔法”と呼べる現象が確立されたら、そのときはみんなで楽しみたいですね。