SEO基礎3本柱:メタタグ・構造化データ・セマンティックHTML入門
検索エンジンがページをどう評価するか――そのカギは意外にも “地味なタグ選び” に隠れています。この記事ではメタタグ・構造化データ・セマンティックHTMLの3本柱を、現場でつまずきやすいポイントと一緒に紐解きます。
「タグが多すぎて覚えきれない」「JSON-LDが英語ばかりで難しい」と感じる方も、実装フローをテンプレ化してしまえば意外と簡単です。クリック率(CTR)やリッチリザルト表示が伸びた施策を交えながら、明日から試せる小技を紹介します。
メタタグ最適化の基本:タイトルとディスクリプションの黄金バランス
<title> と <meta name=”description”> は検索結果で最初に目に入る「店頭ポップ」です。タイトルは600px以内に主要キーワードとブランド名を収め、自然な訴求文を意識しましょう。
例としては「◯◯の選び方|〇〇株式会社」や「SEO メタタグ完全ガイド – サイト名」のような構成がおすすめです。キーワードを前方に配置しつつ、後半にブランド名を添えることで認知向上にもつながります。
ディスクリプションは 150〜160 文字が目安ですが、Googleが本文から自動抽出するケースもあるため「必ず表示されるわけではない」と理解しておくと無難です。
CMSに任せきりだと文脈が途切れやすいので、重要ページだけでも手動で精査する運用をおすすめします。
クリックを呼び込む文言や数字を入れるとCTRが向上しやすく、公開前にSERPプレビューで折り返し位置を確認すると失敗を防げます。
重複タイトルはクロール効率を下げますが、Search Consoleではページのタイトル重複やディスクリプションの問題を個別に確認する機能はありません。
それでも、パフォーマンスレポートで対象ページのCTRが著しく低いものを洗い出すことで、メタ情報の改善対象を推定することが可能です。また、各ページのインデックスステータスやカバレッジエラーの確認も有効です。
Search Consoleでの確認ポイント
- CTR(クリック率)分析:
[検索パフォーマンス] > 「ページ」or「クエリ」ビューでCTRが極端に低いページを抽出。 - カバレッジレポート / ページのインデックス状況:
メタ情報そのものは見られないが、インデックスされない理由やクロールの問題を確認できる。
構造化データ入門:JSON-LDとSchema.orgの“必須”と“推奨”を使い分け
検索エンジンに文脈を伝える最短ルートがJSON-LD形式の構造化データです。ブログ記事ならArticleやBlogPosting、製品ページならProduct、イベント情報ならEventなど@typeを適切に選び、必須(required)プロパティを漏れなく入力しましょう。
Googleのドキュメントはrecommendedとrequiredを明確に分けています。たとえばArticleなら headline・datePublished・author が必須、image などは推奨です。
推奨を埋めるとリッチリザルト化しやすく、クリック後の離脱も減ります。scriptタグを <head> にまとめればメンテナンス性が高まり、CMSテンプレートと相性良好です。
実装後はRich Results Testで即時検証し、Search Consoleの拡張レポート(”よくある質問”や “パンくずリスト”など)で警告を監視すると、問題を早期に発見できます。
注意点として、虚偽のイベント日付や販売価格、存在しない商品レビューなどをマークアップすると、Googleのガイドライン違反としてリッチリザルト資格を失うことがあります。構造化データは「実際にユーザーに見える内容と一致」していることが必須です。
リッチリザルトを呼び込む6ステップ:テストから運用までの現場メソッド
実装作業は①目的設定→②Schemaタイプ選定→③JSON-LD生成→④ローカルテスト→⑤公開→⑥モニタリング、の順に進めると迷いません。
タグ雛形はGoogle Markup HelperやGPTに下書きを作らせ、手動で必須項目を補完する手法が効率的です。公開後はURL検査ツールでインデックス登録をリクエストし、クロール待ちを短縮しましょう。
Search Consoleの拡張レポートはパンくずリストやよくある質問などの専用ビューだけ表示される仕様なので、該当タイプ以外は「検索のパフォーマンス」タブで間接的に効果を測定します。
構造化データは「検索結果で目立たせるための装飾」ではなく、「ユーザーに正確な意味を伝える手段」として運用する必要があります。意図的に不正確な内容をマークアップすることはペナルティの対象になり得ます。
ECサイトでは価格や在庫を自動同期しないとエラーが頻発するため、CMSのカスタムフィールドと連動させるか、定期バッチでJSON-LDを再生成する仕組みが欠かせません。
セマンティックHTML実践編:ランドマークと階層で“意味”を語る
divで囲むだけのレイアウトは視覚的には成立しても、機械は文脈を把握しづらいものです。
<header>・<nav>・<main>・<article>・<section>・<footer> といったランドマーク要素を使うと、スクリーンリーダーがページ構造を正確に読み上げ、検索エンジンも主要コンテンツを効率よく抽出します。
トップページで複数記事を並べる場合は <article> で1件ずつ包み、内部の見出し階層を h2→h3→h4 の順で整えると、パンくず自動生成プラグインとも相性抜群です。
また、 <strong> と <em> は装飾ではなく“強調”と“ニュアンス”を示すタグなので、単なる太字目的で乱用しない姿勢が品質向上につながります。
SEOマークアップ最前線:よくある落とし穴と最新トレンド
ここ数年でGoogleはスマホSERPを刷新し、パンくずを省略する代わりにfaviconとタイトルの視認性を高めました。
その結果、タイトルの簡潔さとブランド訴求がCTRを大きく左右しています。CMS自動生成を完全否定する必要はありませんが、重要ページは手動でタイトル・ディスクリプションを見直すだけで成果が変わります。
構造化データではHowToやCourseタイプなど新schemaが追加され、試験運用が活発です。さらにコアウェブバイタルでは INP(Interaction to Next Paint)が新たに指標化され、軽量マークアップとセットで評価される傾向が強まりました。
LLMが生成するFAQやaltテキストを人間が最終チェックし、誤解を招く記述を排除するワークフローを組むと、効率と品質を両立できます。
最後に注意点として、古いイベント日付や在庫情報を放置するとガイドライン違反でリッチリザルト資格を失います。小さな更新でもJSON-LDと本文を同時に修正する習慣が、長期的な評価安定に直結します。
まとめ:日々の“1%改善”が検索評価を底上げする
派手な裏技よりも、マークアップ精度を 1 % ずつ磨く姿勢こそが安定成長を支えます。メタタグでクリック率を上げ、構造化データで文脈を示し、セマンティックHTMLで骨組みを整える――この3点セットをテンプレ化しておけば、新規記事でもリライトでも迷いません。
Search Consoleで指標を確認しながらPDCAを回し、半年後にサイト全体の評価が底上げされている状態を目指しましょう。
タグは“書いて終わり”ではなく“育てるもの”です。今日1ページに施した小さな改善が、明日の順位変動をやさしく後押ししてくれます。
なお、構造化データと本文の内容に矛盾があると、リッチリザルトの資格を失うだけでなく、信頼性の低下にもつながります。本文更新時にはJSON-LDの数値や記述も必ず同期する習慣を取り入れましょう。
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