Solid.js入門ガイド|React超えの爆速フレームワークを徹底解説【2025年最新版】
Solid.jsは、仮想DOMを使わずネイティブDOMを直接操作することで、圧倒的な描画速度と省メモリを実現した次世代フロントエンドライブラリです。この記事ではその基本から導入手順、Reactとの違い、最新エコシステムまで詳しく解説します。
Solid.jsとは?高速フロントエンドの新定番
Solid.jsは仮想DOMを排し、シグナル単位で依存関係を追跡する「細粒度リアクティブシステム」を採用した軽量ライブラリです。
圧縮後サイズは約7 kBで、React 18.3+ReactDOM(gzip約41 kB)と比べてもおおむね6分の1。
参考:React-DOM bundle increase 200 kB(GitHub)
小ささだけでなく、静的解析によりコンポーネントツリーから不要コードを除去するため初期ロードも高速です。さらにJSX互換構文のためReact経験者は学習コストを抑えて導入できます。
国内外のSPAやIoTダッシュボードで採用例が急増しており、「描画速度・省メモリ・型安全」を同時に追求したい開発現場で新定番となりつつあります。
環境構築:Vite+TypeScriptで最速スタート
npx degit solidjs/templates/ts my-solid-app
でViteテンプレートを取得し、npm install → npm run dev
を実行すると即座にHMR付き開発環境が立ち上がります。
vite build
はデフォルトで静的HTMLと分割バンドルを生成し、NetlifyやCloudflare Pagesなどの静的ホスティングにそのまま配置可能。
参考:Building for Production(Vite Guide)
公式はnpm・pnpm・Bun(2025 年3 月対応済)をサポートしており、パッケージマネージャーを選ばず導入できます。SSR/SSGが必要な場合は後述のSolidStartを追加するだけで同一コードベースからCSR/SSR/SSGを切り替えられる点も魅力です。
pnpm・Bun・SolidStartまで最新ツールチェーン
pnpmはハードリンクによる高速インストール、Bunはネイティブ実装でビルド速度が高く、いずれもSolid公式テンプレートの–template solid
オプションで即利用できます。
SSR用途では<code>solid-start build</code>、CSRのみなら<code>vite build</code>で静的ファイルを生成、SSR構成の一部ビルドには<code>vite build –ssr</code>が用いられますが、通常のSPAでは不要です。ユースケースに応じたビルド戦略が選択可能です。
リアクティブモデル:Signal・Memo・Storeの関係
createSignal
は単一値、createMemo
は派生値、createStore
はネスト構造を扱うステートAPIです。
StoreはProxy経由で差分検知するため便利ですが、Signalよりわずかにランタイムコストが高い点に注意が必要です。
大量要素を頻繁に更新する場面ではSignal粒度を細かく切る設計のほうがメモリ効率とスループットのバランスが取れます。
React useStateとの違いと依存追跡アルゴリズム
ReactではuseState
を更新すると関数コンポーネント全体が再実行され、結果の仮想DOMとの差分をレンダリングします。
Solidは取得関数count()
が呼ばれた瞬間に依存が登録され、Signalが変化したとき該当ノードだけを再評価します。再帰的な差分計算が不要なため、CPUバウンドなシナリオほど優位が際立ちます。
実践コード①:最小カウンターの修正版
以下は構文エラーを修正した最小カウンターです。
import { createSignal } from "solid-js";
export default function Counter() {
const [count, setCount] = createSignal(0);
return (
<div style={{ padding: "1rem" }}>
<h2>カウント: {count()}</h2>
<button onClick={() => setCount(c => c + 1)}>+1</button>
</div>
);
}
Signalが変わるとDOMツリー内のカウント部分のみが書き換わるため、フレーム落ちを招きやすいモバイル端末でも滑らかな動きを維持できます。
実践コード②:Signal×Effect×Storeで作るTODOリスト
次はSignalと副作用createEffect
、Storeを組み合わせた簡易TODOです。
import { createSignal, createStore, createEffect } from "solid-js";
export default function TodoApp() {
const [text, setText] = createSignal("");
const [todos, setTodos] = createStore({ list: [] });
createEffect(() => {
console.log("現在件数", todos.list.length);
});
const add = () => {
if (!text().trim()) return;
setTodos("list", list => [...list, { title: text(), done: false }]);
setText("");
};
return (
<>
<input value={text()} onInput={e => setText(e.currentTarget.value)} />
<button onClick={add}>追加</button>
<ul>
{todos.list.map(item => (
<li>{item.title}</li>
))}
</ul>
</>
);
}
Storeはネスト構造を保持したままパス指定で更新できるため、フォーム系コンポーネントでも冗長なスプレッドを避けられます。
なぜ速い?―コンパイル時最適化とDOMバッチ処理
SolidのBabelプラグインはビルド時にJSXを展開し、静的要素を抽出してランタイムオーバーヘッドを削減します。
実行時はSignal変化をマイクロタスクにキューイングし、同フレーム内でDOM操作をバッチ適用するためレイアウトスラッシングが起きにくい設計です。これによりLargest Contentful PaintやInteraction to Next Paintを効果的に短縮できます。
krausest/js-framework-benchmarkの結果
第三者ベンチマーク「krausest/js-framework-benchmark」最新版(2025 年4 月時点)では、テーブル1000行挿入タスクでSolid 1.8が平均4.1 ms、React 18が7.0 ms、Vue 3が5.9 ms。
参考:SolidJS vs React: Which Framework Makes More Sense in 2025?(Medium)
インタラクション遅延はReact比で約40 %短縮と報告されています。数値はCPU依存ながら、構造的優位性がパフォーマンスに直結していることが分かります。
フレームワーク比較とユースケース選定
Reactは豊富なOSSが魅力、Vueは双方向バインディングと低学習コストが強み。一方Solidは「速度とサイズを重視するSPA」「SEO不要の社内ツール」「低消費電力端末のダッシュボード」などでベストチョイスです。
静的ページ中心ならAstro 2以降がSolidコンポーネントを公式サポートし、npm create astro@latest -- --template with-solid
のようにテンプレートを指定すれば、solid統合済みプロジェクトが即時生成され、島構造+部分的インタラクティブを簡単に実装できます。
Solid.jsエコシステムの現在地
フォームならsolid-hook-form
、状態共有はsolid-js/store
、ルーティングはsolid-app-router
、UIキットはkobalte
が実戦投入されています。
デバッグにはChrome拡張「Solid DevTools 0.27」やVS Codeプラグインがあり、依存グラフの可視化・シグナル値のライブ編集が可能です。
参考:solid-devtools 0.27 Release Notes(GitHub)
公式Discordでは週次のRFCレビューが行われ、ライブラリの成長速度も高いと言えます。
ReactからSolidへの移行ガイド
JSX互換とはいえ、移行時は①ReactのContext→SolidのcreateContext
に置換、②useEffectの依存配列→createEffect
内部の自動追跡へ書き換え、③クラス名マージはTailwind CSSの場合class
属性をそのまま利用、④非同期レンダーは<Suspense>
のAPI差を確認、が必要です。
またuseRef
はref={(el) => ...}
へ変換するなど、DOM取得手順が異なる点にも注意してください。
まとめ:細粒度リアクティブUIの未来
Solid.jsはサイズ・速度・保守性を高次元で両立し、2025 年現在最注目のリアクティブUI基盤です。
Viteと組み合わせた軽快な開発体験、Signalモデルによる高パフォーマンス、成長著しいエコシステムにより、小規模MVPから企業レベルの大規模SPAまで適用範囲が拡大しています。
もし既存フレームワークで描画性能に限界を感じているなら、一度Solid.jsでプロトタイプを組み、その革新的なレスポンスを体感してみてください。