職業訓練のプログラミングコースについて解説
職業訓練校でプログラミングを学びたいけど、なんか難しそう。実際のところプログラマーとして就職できるの?
正直、すぐにプログラマーとして就職するのはかなり難しい。とはいえ対処法はいくつかあるよ。
IT化が加速する昨今、SE・プログラマー業界は将来性抜群。
実は、公的な職業訓練にもプログラミングについて学べるコースがあるんです。
この記事では職業訓練のプログラミングコースについて網羅的に解説。
いち体験談としてでなく訓練校側の視点で、訓練の実情やメリット・デメリット、カリキュラム内容・キャリアプランの例までをまとめています。
職業訓練でプログラミングを学べばプログラマーになれる?
先に結論ですが…
職業訓練でプログラミングを学んでも、プログラマーとしてすぐに就職するのは難しいというのが現状です。
「全ての人が無理」とは言いませんが、クラスの中でも若くて特に努力した方が数名のみ、プログラマーとして就職できている印象。
おおむね30代半ば以上だとかなり難しいです。
プログラマーという職種にこだわらないのであれば6~7割の方が就職できているのですが。汗
『職業訓練「就職率」はどれくらい?就職先の斡旋方法は?訓練校の本音と裏事情もあわせて解説』
とはいえ、プログラマーとしての就職が難しくても様々な対処法やキャリアプランがあります。
訓練修了後のキャリアプラン例についてはこの記事の後半で紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
職業訓練とは【就職に向けて学べる】
まずは職業訓練についてザックリ説明すると…
就職することを目的として、その為に必要な資格やスキル習得を行う訓練のこと。
受講するにはハローワークでの訓練相談を経て選考試験(筆記・面接)に合格する必要があります。
(ごくまれに筆記試験がない・面接がないなどのケースはありますが)
必ずしもプログラミングコースに通えるとは限らない
職業訓練は、基本的に各訓練校が県や自治体等の委託を受けて実施されます。
訓練が行われるタイミングは地域により異なってくるので、受講したいと思った時に必ずしも希望のコースがあるとは限りません。
特に、プログラミングコースはそれほど多くない上に人気のコースでもあります。
いつ・どんなコースが開催されるのか事前にチェックしておきましょう。
外部リンク:職業訓練検索
※プログラミングコースの科名(コース名称)は様々です。キーワードで絞り込まず「想定する分野:IT分野」を選択して検索するのが無難です。
コース名の例
- Webシステム開発科
- アプリケーション開発科
- Web制作技術者養成科
- JAVAプログラミング実践科
などなど。
職業訓練|プログラミングコースのメリット
職業訓練校でプログラミングコースを受講するメリットについて。
無料で学べる(テキスト代は別)
職業訓練は基本的に無料で受講できます。
ただしテキスト代や資格試験の受験料などは自費負担。
でもまぁ、無料で学べるのは嬉しいですよね。笑
お金をもらいながら受講できるケースも(条件あり)
失業保険の受給資格がある方は、失業保険の給付を受けながら訓練に通うことができます。
失業保険の受給資格が無い方でも、一定の要件を満たせば職業訓練受講給付金(月10万円)の給付を受けながら学ぶことができます。
待機期間の終了を待たずに失業保険が受給される場合がある
失業保険の待機期間中に訓練が始まるなどの場合は、待機期間が終わるのを待たずに給付を受けられることがあります。
(入校が決まっている場合に限る)
入校するタイミングによっては、逆に延長して受給できるケースもあります。
給付の前倒しや延長ができるかは人それぞれなので、詳細はハローワークで相談してみて下さい。
学割サービスが使える場合も
訓練校に学生証や在学証明証を発行してもらえば、学割サービスがある店で割引を受けられる場合があります。
もちろん、職業訓練も「学割」適用とするかどうかは各店によりけりですが。
大人になってから「学生」を経験するチャンスは中々ないので、訓練期間中に学割サービスを使い倒しちゃいましょう。笑
クラスメイトと情報交換・切磋琢磨できる
職業訓練はたいていの場合1クラス15名~30名程度。
知識や勉強法を共有しながら仲間と切磋琢磨していけるのも大きなメリットです。
ただ、プログラミングコースは他のコースに比べてドライな雰囲気になってることが多い印象だよ。事務コースやパソコン基礎コースとかだと和気あいあいとしてるんだけどね。笑
活発に情報交換したいなら自分から積極的にコミュニケーション取ったほうが良さそうね。
訓練期間が終わりに近づいてくると、求人情報を共有しあう姿もよく見られますよ。
「こんな求人あったんだけど、○○さんに良さそうじゃない?」
といった感じです。
職業訓練|プログラミングコースのデメリット
職業訓練でプログラミングを学ぶことのデメリットは下記のとおり。
即戦力としての就職は難しい
訓練で学ぶ内容は基礎的なことが多く、修了してすぐにプログラマーとして就職するのは難しいです。
詳しくは後述しますが、就職までには大きく分けて4つの壁があり、この”壁”を着実に超えていく必要があります。
職業訓練を受けてプログラマーになる為の「4つの壁」
職業訓練を受けてプログラマーになるには、主に「4つの壁」があります。
- 受講の壁
- 知識の壁
- 継続の壁
- 就職の壁
1.受講の壁
まずは「職業訓練の受講を認めてもらえるか否か」という”受講の壁”が存在します。
訓練は、ハローワークで「受講の必要性がある」と判断されてはじめて応募することが可能。
『職業訓練受講給付金の手続き方法と「厳しい審査を通すコツ」|求職者支援訓練の条件とは』
さらには選考試験にも合格しなければいけない為、なかには訓練を受けられなかったという人も出てきます。
この壁を超えるためには下記の記事を参考にしてみてください。
『職業訓練の面接対策や合格するコツを解説|質問例・回答のポイントあり』
2.知識の壁
入校したら、次に待ち受けるのは”知識の壁”です。
受講生のほとんどはプログラミング未経験者・初学者なのですが、はじめての人にとってはやはり難しく感じるようですね。
授業の中でのみ学習するというよりは、自主的に学ぶ姿勢が大切かと。
初めのうちはとっかかりにくく感じるかもしれないですが、理解が進むにつれて学ぶことが楽しくなってくるはず。
プログラミング学習の成果を最大化したいなら、下記の記事をヒントにしてみるといいかもです。
『職業訓練|Webデザインやプログラミングコースを受講する際のポイント|就職・収入アップに繋げる為に』
3.継続の壁
次に訪れるのが、”継続の壁”。
プログラミングに限らずですが、知識を「自分のスキル」として定着させるにはインプット→アウトプットの繰り返しが必須ですね。
コードを書いては動作確認し、不具合があれば修正してまた動作確認…といった作業が延々と続くこともあるかと思います。
意外と地味で根気の要る作業。
対処法としては、学んだことを仲間と共有したり情報発信するのがおすすめ。
モチベーションの維持に繋がります。
4.就職の壁
最後に立ちはだかるのが”就職の壁”。
くどいようですが、職業訓練を受けたからといって誰でも就職できるわけではありません。
未経験から採用している会社は意外と少なく、さらには年齢というハードルもあります。
ただ、プログラマーになるための方法は一つだけではありません。
様々な角度から挑戦するほど可能性は拡がります。
プログラマーの種類・学習する言語
さて。
ここからはプログラマーの種類や学習する言語について、もうちょっとだけ踏み込んで紹介。
プログラマーの種類
一口にプログラマーと言っても、いくつか種類があります。
Webプログラマー
Webサイト・Webサービスなどのシステム開発を行う。
アプリケーションプログラマー
PCやスマホ等の端末にインストールして使うアプリの開発を行う。
ゲームプログラマー
ゲーム開発を行う(スマホゲームなど)。
組み込み系プログラマ―
家電製品・電子機器などに組み込まれる制御プログラムを開発する。
通信系プログラマ―
Wi-Fiやクラウド型サービスなど、ネットワークに特化したシステムの開発を行う。
汎用系プログラマー
大企業の基幹システムや金融機関の顧客データベースなど、大規模なシステムの開発を行う。
などなど。
大きく分けるとこんな感じです。
訓練で学ぶ言語の例
プログラマーの種類について紹介しましたが、なかでも職業訓練のプログラミングコースとして多いのはWebプログラマーとアプリケーションプログラマー。
なので、この2つの職種にフォーカスして学ぶ言語の例を紹介します。
(あくまでも一例です)
プログラミングコースで学ぶ言語
- フロントエンド
(ユーザーの目に触れる部分)
HTML、CSS、JavaScript - バックエンド
(ユーザーの目に触れない部分。データ処理など)
PHP、Ruby、Java
個人的な感想ですが、HTMLやCSSは分かりやすいはず。
PHPやRubyも比較的とっかかりやすいでしょう。
Javaは難しいと感じる人も多いようで、挫折する人をよく見ます。笑
とはいえJavaを使った開発現場は多いので、将来性のある言語ともいえますね。
ちなみに、HTMLやCSSはWebデザインのコースにも組み込まれている場合が多いです。
プログラミングコースの訓練内容【カリキュラム例】
職業訓練のカリキュラム日程や内容を紹介します。
訓練校やコースによって多少の違いがあるので、あくまでも一例として参考にしてみてください。
時間割【授業は1コマ50分×6時限】
時間割は基本的に、1コマ50分で休み時間10分。
午前3時限・午後3時限の一日計6時限です。
複数クラスある訓練校では、クラスごとに時間を10分ずつズラしてたりします。
(休憩時間中のトイレ渋滞を防ぐため)
また、放課後は自主学習したい人の為に教室を解放している訓練校も多いです。
カリキュラム内容【月ごとの流れ】
あくまでも一例ですが、プログラミングコースのカリキュラム内容を紹介します。
月数 | カリキュラム内容 |
1ヶ月目 | ・就職支援 ・パソコン基礎 |
2ヶ月目 | ・HTML ・CSS ・JavaScript |
3ヶ月目 | ・JavaScript ・PHP |
4ヶ月目 | ・卒業制作 ・企業実習 |
はじめは就職支援や座学を行い、慣れてきたら実際にPCを使って操作。
HTML・CSSの授業に入ると楽しそうにする人も多いですが、JavaScriptあたりから授業について行くのがやっとという人も出てきます。笑
また、カリキュラムの合間に就職相談を行ったり、毎日10分程度はタイピングの練習時間が確保されているケースが多いです。
どんな資格が取得できる?
どのような資格が取得できるかは訓練によって異なりますが、例えばWebクリエイター能力認定試験やJAVAプログラミング能力認定試験などがあります。
(カリキュラムでどの言語を学ぶかによって違ってきます。)
注意点としては、訓練を受ければ自動的に資格取得できるというわけではないということ。
通常通り資格試験を受けて合格する必要があります。
プログラマーになるには【キャリアプランの例】
実際にプログラマーとして働く場合、どのような形態があるのか解説します。
システム開発会社に就職
一番イメージしやすい働き方として、システム開発会社への就職があるかと思います。
その場合、大きく分けると自社開発を行っている会社と受託開発を行っている会社に分かれます。
自社開発
自社サービスをもっていて、そのサービスの開発・運用を行う。
対クライアントという働き方ではない為、服装など自由なところも多い。
メリット:裁量が大きい。納期が決まっていないため残業が少ない傾向にある。
デメリット:より自分で考えたり判断する力が求められる。
受託開発
他社(クライアント)から依頼を受けてシステムの開発・運用を行う。
メリット:依頼主によって様々な仕事ができる(仕事の幅が広がる)。受託のためリスクが少なく比較的安定している。
デメリット:厳しい納期を設定されることがある(残業が多くなることがある)。方向性などクライアントに振り回されることがある。
SES(システムエンジニアリングサービス)【客先常駐】
SES(システムエンジニアリングサービス)では、依頼主の会社に出向いて作業を行います。
比較的入社しやすいですが、プログラミングそのものというよりテストや雑用的な仕事ばかりさせられることも多いです。
メリット:未経験でも入社しやすい。色んな現場を見ることができる。人間関係をリセットしやすい。
デメリット:スキルアップしにくい。現場ごとに面接がある場合が多い。年齢が高くなると仕事が入りにくくなる。
まとめ【訓練後すぐの就職は難しいものの、対処法はある】
「職業訓練を受けてプログラマーになることは難しい」
というのが現状ではありますが、あとはやり方次第・行動次第。
自分に最適だと思う方法で挑戦してみましょ。