職業訓練受講給付金の手続き方法と「厳しい審査を通すコツ」|求職者支援訓練の条件とは

職業訓練受講給付金の手続き方法と「厳しい審査を通すコツ」|求職者支援訓練の条件とは
目次

職業訓練に通おう【受講給付金を貰いながら学べる】

職業訓練受講給付金という言葉を聞いたことがありますか?

一定の要件を満たせば、職業訓練を受講しながら給付金を貰うことができますよ。

今回は職業訓練に通いながら受講給付金を貰うための方法を解説。

僕自身、職業訓練校で働いていた経験と通っていた経験があり、手続きの流れを間近で見てきました。

手続きの方法はもちろん、厳しい審査に通るコツまで解説します。

職業訓練の概要

ここでいう職業訓練とは、就職に必要な知識・スキルを習得するための公的な制度です。

様々なジャンルのコースがあり、希望する職種に応じた訓練を受けることが可能。

一般的には3~6ヶ月間のコースがほとんどですが、なかには1年の長期コースも。

職業訓練は、正式には「公的職業訓練(ハロートレーニング)」といい、大きく分けて2つの種類があります。

受ける訓練の種類によって貰えるお金の種類も異なるので注意。

  • 公共職業訓練
    主に失業保険を受けられる求職者が対象(失業保険(雇用保険)を受け取りながら通うことができる)
  • 求職者支援訓練
    主に失業保険を受けられない求職者が対象(職業訓練受講給付金を受け取りながら通うことができる)

手続きの流れ

職業訓練の受講手続きは、最初にハローワークの窓口で相談を行う必要があります。

※ハローワークで訓練相談や就職相談を受けるには『求職者登録』をしている必要があります。まだ登録が済んでいない方は、ハローワーク窓口にて求職者登録を済ませておきましょう。

受講するまでの主な流れ

  • ハローワークの職業訓練窓口に相談
  • 入校願書を受け取る(受講資格・必要性があると判断されれば)
  • 入校願書を記入して提出(訓練の種類によって提出先が異なるので注意)
  • 訓練校にて選考試験・合格発表
  • 合格すれば職業訓練に入校決定!

まずは近くのハローワーク職業訓練窓口にて声を掛けてみて下さい。

その際に職業訓練受講給付金についての説明もあると思いますが、万がいち職員からの説明がなければこちら側から聞いてみましょう。

手続きのコツ

職業訓練や受講給付金について、ハローワークで相談したからといってすぐに手続きができるというわけではありません。

手続きの際にはまずハローワークで願書をもらう必要がありますが、この願書は誰でもすぐにもらえるわけではないのです。

訓練相談をした時、まず「本当に受講する必要があるか」という点を判別されます。

窓口に相談しに行く際は、主に下記の点をみられていることを意識しましょう。

積極的に就職しようとしているか(就職意欲があるか)

職業訓練を受講したいなら、就職意欲を見せることは必須。

ハローワークは、大前提として「就職率を上げる」という使命があるわけです。

当然、「無料で資格取得したい」とか「お金が欲しい」だけの利用者に職業訓練を受けさせるわけにはいかないですね。

職業訓練を受けて、スキルを習得して、最終的に必ず就職につなげたい」という姿勢を見せることが大事です。

また、「就職活動や情報収集を積極的に行っているが、資格やスキル面で厳しい状況にある」ということをアピールできれば、受講への大きな理由付けにすることができます。

希望職種と受けたいコースの科目が合致しているか

職業訓練を受講するには、希望職種と訓練科目を合致させることも重要。

例えば、ハローワークに求職登録した時の希望職種が「医療事務」となっているのに「Web系の訓練」を受けたいというと、そのギャップを指摘されます。

場合によっては、それが理由で受講者として適切でないと判断されてしまうことも。

スキル習得済みではないか

すでにスキルを習得しているはずの訓練を受けることも難しいです。

例えば、すでに簿記3級の資格を持っているのに「簿記3級の資格取得を目指すコース」を希望しても、「通う意味ないよね」とあしらわれてしまいます。

授業についていけるか

職業訓練を受けたとして、「授業についていけるか」という点を聞かれることもあります。

表向きにされているわけではありませんが、比較的ご高齢の求職者に対しては対応が厳しくなることも。
(若年者コースを除けば、制度自体に年齢制限があるわけではない)

具体的には

  • 職業訓練の授業についていけるか?
  • 職業訓練を修了しても高年齢のため就職に活かせるか微妙なので、別の職種で就活したほうがいいのでは?

などなど。

ぶっちゃけますが、「ハローワークの人にとても厳しい対応された」と相談されることは結構ありました。

給付金目的・資格目的を警戒

特に、職業訓練窓口の担当者は下記のような人を警戒しています。

  • 資格がほしいだけ
  • 給付金がほしいだけ
  • 職業訓練を楽しみたいだけ

公共訓練のほうは比較的願書を出してもらいやすいですが、求職者支援訓練については結構厳しくチェックされる印象。

また、訓練相談を受けた初日にすぐに願書をもらえるというのは稀だったりするので、訓練窓口に粘り強く足を運ぶための心の準備もしておきましょう。笑

職業訓練受講給付金で損しないために【審査・手続き】

せっかく職業訓練に通うなら給付金を貰いながら通いたいですよね。

というより、給付金を確保しないと勉強どころじゃないはず。

公共職業訓練では失業手当を貰いながら受講するケースが多いので、お金の受け取りで困ることはあまりありません。

失業保険の受給は被保険者がもともと持っている権利ですので。

なので、ここからは求職者支援訓練における職業訓練受講給付金について解説していきます。

※失業保険受給資格の無い方が対象

職業訓練受講給付金の受給要件【求職者支援訓練】

さて。いよいよ職業訓練受講給付金を貰う方法について。

一定の条件を満たした方は、毎月10万円の職業訓練受講給付金と交通費を受け取ることができる可能性があります。

まずは対象者から。

訓練受講の要件

1.ハローワークに求職の申込みをしていること
2.雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと
3.労働の意思と能力があること
4.職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めたこと

引用元:厚生労働省HP

求職者登録がまだの方は、ハローワークの受付窓口で登録を済ませておきましょう。

給付金の支給要件

  1. 本人収入が月8万円以下
    →特例措置により、令和5年3月末までは月12万円以下
  2. 世帯全体の収入が月25万円以下
    →特例措置により、令和5年3月末までは月40万円以下
  3. 世帯全体の金融資産が300万円以下
  4. 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
  5. 全ての訓練実施日に出席する
    (やむを得ない理由がある場合も、8割以上出席する)
  6. 世帯の中で同時にこの給付金を受給して訓練を受けている者がいない
  7. 過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けていない
引用元:厚生労働省HP

現在、特例措置により支給要件が緩和されています(令和5年3月末まで)。

詳細は引用元ページをご確認ください。

職業訓練受講給付金「申請時の注意点」

職業訓練受講給付金を申請する際の注意点を押さえておきましょう。

注意点1:収入は世帯全体でチェック

収入面の条件は世帯単位でもみられるので、例えば本人の月収が8万円以下(2023年4月末までは12万円以下)であったとしても、配偶者や同居している親の収入が多いために要件を満たさなくなるケースがあります。

注意点2:資産も世帯全体でチェック

資産面の条件でも同じように、本人の貯金がたとえ0円であっても同居する親の資産が300万円を超えていたり、住んでいる場所以外に土地・建物がある場合も要件を満たさなくなります。

注意点3:不正扱いに注意

「じゃあ、訓練を受ける時だけ世帯を分ければいいんじゃないの?」

との声も出てきそうですが、世帯を分けた時期と給付金を申請した時期が近い場合、不正な申請だと判断される場合があるとのこと。
(ハローワークの職員に聞きました。)

注意点4:途中で受給が止まる可能性も

一度申請が通れば訓練期間とおして必ず貰えるというわけではありません。

収入や資産面で変更が生じ、受給要件を満たさなくなった場合は訓練期間中であっても途中で受給できなくなることもあります。
※だからといって不正受給はいけません。変更があったのであれば必ず申告しましょう。

職業訓練受講給付金の手続き・審査~入校までのコツ

ここで、職業訓練受講給付金の手続きや審査の際のうまい立ち振る舞いを書いておきます。

事前準備

まずは事前準備。

  • あらかじめ、その年にどのような訓練コースがあるのか確認しておく。
    (ハローワークやHPなどで確認できる)
  • ハローワークに求職者登録しておく。
  • この時、希望職種欄には受講したい訓練の職種と同じ職種を記入しておく。
  • その職種での応募実績や職業相談実績があれば尚良し。
  • 同居の両親が金持ちすぎて要件を満たさないなら、事前に世帯や住所を移し…(お察し

ハローワークでの手続き・審査

職業訓練や給付金の手続きをする際は、就職意欲があることをしっかり伝えることが大事です。

  • なぜこの訓練が必要なのか?
  • なぜこの訓練じゃないとダメなのか?

という問いにしっかり答えられるようにしておきましょう。

そして、中には厳しい対応をしてくる職員もいるので心の準備も必要です。

相談したその日に願書を貰えなくてもヘコまないこと(心が折れないようにね…)。

最初から願書を貰えることはむしろまれで、相談初日は「もう少しよく考えてみてください」と追い返すのがテンプレ対応になっていたりします。

職業訓練校での選考試験

通常は筆記試験面接試験があります。

出題される問題や制限時間は学校によって異なるので注意してください。

<筆記試験>

僕が勤めている学校(事務系コース)の場合、A4用紙1枚(両面)ほどのボリュームで、簡単な計算問題や言葉の問題など(制限時間20分)。

適性検査のようなイメージ。

<面接試験>

面接試験のポイントは下記のとおり。

学校側の本音も一緒にどうぞ。

●就職意欲があることと訓練の必要性をアピールする。
→職業訓練学校のホンネ:就職率を気にしている(学校側に入る報奨金や評価に関わるから)

●欠席や途中退校せずに最後まで受講できるという意志を見せる
→職業訓練学校のホンネ:欠席が続くと退校につながる。途中退校されると、その分の委託金が学校側に入らなくなるので困る。

●前職の文句ばかりを言わない
→職業訓練学校のホンネ:この学校でも文句ばかり言うなどトラブルのもとになりそう。

あとは、話し方や身なりも少なからず見られているのでそのつもりで(スーツなら完璧)

まとめ【職業訓練受講給付金の手続き方法と「厳しい審査を通すコツ」】

最後に…

どの科目の訓練を受けるのか選ぶ際、自分の適性を考慮するのも大事ではありますが、なるべくこれから需要が増えていく仕事の訓練を選ぶのがおすすめです。

縮小傾向にある業界に飛び込むよりはリスクを抑えられるはずなので。

就職への近道として、ぜひ職業訓練受講給付金を活用してもらえればと思います。

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