職業訓練のWebデザインコースについて網羅的に解説します
職業訓練でWebデザインを学ぶとWebデザイナーになれるの?
訓練を受けてすぐWebデザイナーとして就職するのは比較的難しいよ。とはいえ実際にWebデザイナーになっている人も居ることは居る。笑
実は、訓練についての記事は数多くあるのですが、人によって見方がバラバラ。
「実際に就職するのは難しい!」
という意見もあれば
「いや!為になった!就職に役立った!」
といった意見も。
そこで、この記事では何度も訓練校の運営に携わってきた僕が、いち体験談としてでなく等身大の職業訓練(Webデザインコース)の内容や実態を紹介していきます。
職業訓練でWebデザインを学べばWebデザイナーになれる?
先に結論ですが、、
職業訓練でWebデザインを学んでも、Webデザイナーとしてすぐに就職するのは難しいというのが現状です。
クラスの中でも若くて優秀な人が数名程度、Webデザイナーとしての就職に成功しているイメージ。
逆にいえば、若くて勉強をがんばれば可能性は大いにあるのね。
そういうことになるね。一方で、年齢が高いとWebデザイナーとしての就職はかなり難しい。もちろんこれまでの経験や職歴にもよるけど。
おおむね30代半ば以上になってくると、その難易度は格段に上がってしまうのが現状です。
ただ、Webデザイナーという職種にこだわらないのであれば6~7割の方が就職できていますよ。
就職率についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
『職業訓練「就職率」はどれくらい?就職先の斡旋方法は?訓練校の本音と裏事情もあわせて解説』
また、すぐにWebデザイナーになるのが難しくても、様々なキャリアプランがあります。
訓練修了後のキャリアプラン例についてはこの記事の後半で紹介していますので、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
職業訓練とは【就職に向けて資格・スキルを習得できる】
まずは職業訓練についてザックリ説明すると…
就職することを目的として、必要な資格やスキル習得を行う訓練のこと。
受講するには、ハローワークでの訓練相談を経て選考試験(筆記・面接)に合格する必要があります。
(ごくまれに筆記試験がない・面接がないなどのケースはありますが)
タイミング良くWebデザインコースがあるとは限らない
職業訓練は、基本的に各訓練校が県や自治体等の委託を受けて実施されます。
訓練が行われるタイミングは地域により異なってくるので、受講したいと思った時に必ずしも希望のコースがあるとは限りません。
また、Webデザインコースは人気があり、2倍以上の倍率になることも珍しくないです。
受講を検討している方は、いつ・どんなコースが開校するのかを事前にチェックしておくことをおすすめします。
外部リンク:職業訓練検索
※下記のように様々な科名(コース名称)が存在する為、「Webデザイン」等のキーワードで絞り込むと検索結果に表示されない可能性があります。
キーワードは入力せず「想定する分野:IT分野」を選択して検索するのが無難です。
科名(コース名称)の例
- Webデザイン基礎科
- Webクリエイター科
- HPプログラミング科
- ITシステム科
などなど。
職業訓練校でWebデザインコースを受講するメリット
職業訓練校でWebデザインコースを受講すると、様々なメリットがあります。
無料で学べる(テキスト代は別)
職業訓練校でWebデザインコースを受講する一番のメリットは、無料で学べるということ。
ただし、授業で使うテキスト代や資格試験の受験料などは基本的に自費負担です。
条件を満たせばお金をもらいながら受講できる可能性も
失業保険の受給資格がある方は、失業保険の給付を受けながら訓練に通うことができます。
失業保険の受給資格が無い方でも、一定の要件を満たせば職業訓練受講給付金(月10万円)の給付を受けながら学ぶことができますよ。
失業保険がすぐにもらえる場合がある
失業保険の待機期間中に訓練が始まるなどの場合は、待機期間が終わるのを待たずに給付を受けられることがあります。
(入校が決まっている場合に限る)
入校するタイミングによっては、逆に延長して受給できるケースもあります。
給付の前倒しや延長ができるかは人それぞれなので、どちらにしても詳細はハローワークで相談してみて下さい。
学割サービスが使える場合も
訓練校に学生証や在学証明証を発行してもらえば、学割サービスがある店で割引を受けられる場合があります。
もちろん、職業訓練も「学割」適用とするかどうかは各店によりけりですが。
Webデザインコースに通うならAdobe Creative Cloudをお得に購入するのもおすすめですよ。
Adobe Creative Cloud(アドビ クリエイティブクラウド)とは
フォトショップやイラストレーターをはじめ様々なAdobe製品が全て使えるクリエイティブ制作ツールのサブスクリプションサービスです。
大人になってから「学生」を経験するチャンスは中々ないので、この機会に学割サービスを使い倒さないと損ですね。
様々な職歴・年齢の人達と情報交換できる
職業訓練では、様々な職歴・年齢の人達と同じ教室で学ぶことになります。
その中で、あらゆる業界の裏話を聞くなど情報交換もできちゃいますね。
また、同じ目標を目指す仲間として一体感が生まれることも。
訓練修了後も、これまで通り交流を続けていくケースもよく見受けられますよ。
職業訓練でWebデザインを学ぶデメリット
職業訓練でWebデザインを学ぶことのデメリットは下記のとおりです。
基本的なことしか学べない
ほとんどのコースでは、実践的な内容というよりはWebデザインの基礎までしか学べません。
数か月という縛りの中で初心者から始めるので、仕方ない気もしますが。
特に、40代以上の方が全くの未経験から訓練を受けて、Webデザイナーとして就職するのはかなり厳しいです。
Webデザインコースの訓練内容【カリキュラム例】
職業訓練のカリキュラム日程や内容を紹介します。
訓練校やコースによって多少の違いがあるので、あくまでも一例として参考にしてください。
時間割【授業は1コマ50分×6時限】
時間割は通常1コマ50分で休み時間10分。
午前3時限、午後3時限、一日計6時限あります。
時間割表(例)
複数クラスある訓練校では、クラスごとに時間を10分ずつズラしてたりします。
(休憩時間中のトイレ渋滞を防ぐため)
訓練校によって、9時から授業が始まる所もあれば9時30分から始まる所もあります。
また、自主学習したい人の為に放課後もそのまま教室を解放している訓練校も多いですよ。
訓練カリキュラム内容の例【月ごとの流れ】
次に訓練カリキュラムの内容について。
6ヶ月コースと4ヶ月コースの例で見てみましょう。
(あくまでも一例です)
6ヶ月コース | 4ヶ月コース | |
1ヶ月目 | ・就職支援 ・パソコン基礎 |
・就職支援 ・パソコン基礎 ・WEBデザイン概論 |
2ヶ月目 | ・WEBデザイン概論 ・HTML5、CSS3 ・Illustrator |
・HTML5、CSS3 ・Illustrator ・Photoshop |
3ヶ月目 | ・Photoshop ・Dreamweaver ・Wordpress |
・Wordpress ・レスポンシブ ・jQuery |
4ヶ月目 | ・レスポンシブ ・jQuery ・Python |
・卒業制作 |
5ヶ月目 | ・JavaScript ・卒業制作 |
– |
6ヶ月目 | ・企業実習 | – |
最初のうちは就職支援や座学を行い、慣れてきたら実際にPCを使って操作。
画像編集やHP作成の”いろは”を学んでいきます。
訓練の終盤では、集大成となる作品を制作。
企業実習は実施していない所もあるので、事前にコース案内などでご確認ください。
また、訓練期間をとおして行われることとして
- 一時限目の最初の10分間はタイピング練習
- カリキュラムの合間で就職相談
などがあります。
どんな資格が取得できる?
職業訓練のWebデザインコースを受けると、次のような資格の取得が目指せます。
(一例です)
- Office系資格(Word、Excel等)
- Webクリエイター能力認定試験
- photoshopクリエイター能力認定試験
- Illustratorクリエイター能力認定試験
注意点としては、訓練を受ければ自動的に取得できるというわけではなく、試験を受けて合格する必要があるということ。
また、WordやExcelなどのOffice系資格は、MOS試験・サーティファイ認定試験・日商PC検定などの種類がありますが、どれを推奨しているのかはコースや訓練校によります。
取得可能資格についても事前にコース案内などでご確認ください。
Webデザイナーになるには【キャリアプランの例】
職業訓練に通ったあとWebデザイナーになるには、どのような方法があるのか。
ここからはキャリアプランの例を紹介していきます。
Web制作会社に就職
一番理想的だといえるのが、訓練修了後すぐにWeb制作会社に就職することですね。
ただ、これは一番難しいパターンともいえます。
この記事の冒頭でも触れていますが、訓練修了後すぐにWebデザイナーとして就職できているのは、たいていの場合クラスで数人程度。
少なくとも、訓練期間中から独学や就職活動を精力的に行っていなければかなり難しいでしょう。
とはいえ可能性はあるので、まずはそこを全力で目指す気概で臨みたい所です。
Webライターとして経験を積む
理想はWebデザイナーとして就職することですが、訓練修了後の就職率を見ても分かるとおり全ての人がWebデザイナーになれるわけではありません。
Webデザイナーとしての就職が難しいなら、まずはWebライターとして経験を積むという選択肢もあります。
Webライターは、ブログ記事などWeb上の文章を作成する仕事。
“Webコンテンツ制作”という意味ではWebデザイナーと関連性があり、これもポートフォリオの一つになりえます。
行動次第では「WebライティングもできるWebデザイナー」になれるんですよね。
また、Webライターは未経験から募集している会社も多く、業界内に入り込みやすいのも利点。
訓練修了生のなかには、実際にWebライター職を経てWebデザイナーになった方もいます。
クラウドソーシングで仕事を受注する
就職状況報告期間内にWebデザイナーとして就職できなかった場合は、クラウドワークス
実際に、フリーランスとしてこのやり方で収入を得ている人は多くみられます。
はじめは簡単なコーディング作業からはじめるなど、無理なく実績を積むことが可能。
自分で仕事を獲得する必要があるため営業力や提案力が求められますが、実績を積むほど仕事が舞い込んでくるようになります。
他業種の企業でHP管理に携わる
Web制作会社にこだわらずとも、入社した会社でHP制作や管理に携わらせてもらうのも一つの手です。
例えば、リフォーム会社に就職して企業HP管理やWeb広告代理店とのやりとりを任せてもらうなど。
そこで積んだ経験を活かしてWeb制作会社へアプローチするのもアリですね。
まとめ【学びと成長を積み重ねてキャリアアップに繋げよう】
Webデザイナー含め、Web・IT業界は技術変革の波が速いですね。
「訓練修了したら勉強は終わり!」ではなく、常に学ぶ姿勢で仕事に向き合うことで着実なキャリアアップに繋がります。